Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

共同企画3
日本消化器がん検診学会共同企画新たなカテゴリー分類!腹部超音波検診判定マニュアル

(S190)

新たなカテゴリー分類 腹部超音波検診判定マニュアル-胆嚢・肝外胆管-

New guideline for adominal ultrasound cancer screening : Gallbladder/Extrahepatic Bile Ducts

岡庭 信司

Shinji OKANIWA

飯田市立病院消化器内科

Gastroenterology, Iida Municipal Hospital

キーワード :

日本消化器がん検診学会超音波研修委員会は,日本超音波医学会や日本人間ドック学会と連携し,判定区分にも言及した腹部超音波検診判定マニュアルを新たに作成した.今回のマニュアルでは超音波所見の変更に加え,事後指導に直結する判定区分が追加されている.判定区分は,A:異常なし,B:軽度異常,C:要経過観察・生活指導,D1:要治療,D2:要精検,E:治療中の6つに分類され,原則的には超音波所見に対応して選択・決定される.
【胆嚢】
・隆起/腫瘤像
有茎性と広基性に分類し,5mm以上,10mm未満の有茎性病変では点状高エコーに加え,桑実状エコーをカテゴリー2とする除外項目に追加した.桑実状エコーは形状ではなく,内部エコーの性状を示すことに注意が必要である.一方,小嚢胞構造/コメット様エコーを伴う広基性病変はカテゴリー2となるが,胆嚢腺筋腫症と胆嚢癌の合併に注意を促すため判定区分はCとした.
・壁肥厚
びまん性壁肥厚(体部肝床側にて4mm≦)はカテゴリー3(D2),壁の層構造の不整/断裂を認めるものはカテゴリー4(D2)とする.限局性壁肥厚(壁の一部に内側低エコーを認める)はカテゴリー4(D2)とする.いずれの肥厚もRASを反映する小嚢胞構造/コメットエコーを認める場合にはカテゴリー2となるが,胆嚢腺筋腫症と胆嚢癌の合併に注意を促すため判定区分はCとした.
・胆嚢腫大(短径36mm≦)
胆道腫瘍/膵頭部腫瘍の間接所見としてカテゴリー3(D2)としている.但し,乳頭部近傍までの下部胆管に異常所見のない場合はカテゴリー2(C)とした.
・結石像(石灰化像や気腫を含む)
コレステロール結石などの石灰化像を呈さない結石にも対応するため,超音波所見を石灰化像から結石像に変更し,壁評価不能例はカテゴリー3(D2),それ以外をカテゴリー2(C)としている.壁肥厚を伴う例では壁肥厚と結石像のいずれか最高位のカテゴリーを記載する.
・デブリ
胆嚢腫大と同様に胆道腫瘍/膵頭部腫瘍の間接所見としてカテゴリー3(D2)とする.可動性のない病変はデブリではなく限局性壁肥厚(カテゴリー4)とする.
・描出不良
胆嚢は比較的描出が容易な臓器であるため判定区分をD2とした.
【肝外胆管】
・隆起/腫瘤像
胆管ではコレステロールポリープのような良性隆起性病変の頻度が低いため全てカテゴリー4(D2)とし,付着部の層構造の不整/断裂があればカテゴリー5(D1)とする.
・壁肥厚
びまん性肥厚は壁厚3mm≦,限局性肥厚は内側低エコーを一部に認めるものとし,粘膜面の不整はカテゴリー4(D2),層構造の不整はカテゴリー5(D1),いずれも認めないものはカテゴリー3(C)とする.
・胆管拡張(8mm≦,胆嚢摘出後は11mm≦)
胆道腫瘍/膵頭部腫瘍の間接所見としてカテゴリー3(D2)としている.但し,乳頭部近傍までの下部胆管に異常所見のない場合はカテゴリー2(C)とした.
・結石像(石灰化像や気腫を含む)
泥状結石など石灰化像を呈さない結石にも対応するため超音波所見を石灰化像から結石像に変更した.胆嚢結石(C)と異なりD2となることに注意する.
・デブリ
胆道腫瘍/膵頭部腫瘍の間接所見としてカテゴリー3(D2)とする.但し,可動性のない病変は,デブリではなく隆起/腫瘤像(カテゴリー4)とする.
・描出不良
通常の判定区分はCだが,胆嚢や肝内胆管に異常を認めるときにはD2とする.
腹部超音波検診判定マニュアルの胆嚢・肝外胆管の超音波所見につき解説した.今回は判定区分も追加されており早期癌の発見に繋がることを期待している.