Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2014 - Vol.41

Vol.41 No.Supplement

共同企画1
日本心エコー図学会共同企画日本超音波医学会と日本心エコー図学会:どう棲み分ける?

(S182)

これからどうなる?超音波専門医制度

Change Board Certified Fellow of the JSUM

千田 彰一

Shoichi SENDA

香川大学医学部附属病院総合診療科

Department of Integrated Medicine, Kagawa University Hospital

キーワード :

【目的】
進行しつつある専門医制改革にあって,超音波専門医は今後どう変わるか? 本会制度設計の経緯をふりかえりつつ,今後を展望する.
【これまでの経緯】
本会超音波専門医制度の発足は1988年で,学会認定医制協議会には1990年2月6日に加盟が認められ,以降は診療領域横断的第三群専門医の一翼を担ってきた.「50周年記念誌」によると超音波専門医制度委員会が松尾裕英委員長,伊東紘一副委員長の下での活動は1990年5月からで,その委員は秋本伸,岡井崇,木本英三,千田彰一,竹内和男,棚橋善克,名取博,名取道也,羽田勝征,万代恭嗣,平田経雄,松崎益徳氏らである.その2年前から準備委員会が設けられ,上述委員のうち各診療領域代表数名が招集されて二泊三日囲い込まれ,諸規約等制度作りを一気にやり挙げた.今日多くのサブスペシャルティ専門医が誕生するのに先行し,各臓器別ではない超音波専門医という概念で他にない特有の制度にしようとの強い思いが,今日の超音波専門医制度の礎となっている.
専門医制度の初期提唱者のお一人である日野原重明先生は,“医師がしっかりした研修の裏付けによりその専門分野を情報として提供し,医師と患者の信頼関係を深めることは当然の努力目標である.現在の医療は医学の細分化(専門化)が進展し,医師もそれぞれが提供する医療やその範囲などが専門化している状況の中で,研修の裏付けのない診療科を自由に表示できる制度は国民を欺くものであり,早急に改善すべきである”(本会専門医問題集第4版序)と仰っている.患者に自らの専門責任範囲を明示し,受診に際しての判断基準としての情報を開示すべきとの考えである.きちんと確立された専門研修を経て学習到達目標を達成し,第三者的総合評価すなわち認定試験に合格する必要がある.本会が超音波医学の専門診療家として超音波専門医を認定して世に輩出するのは,超音波診療の専門性を重んじ,その専門性を患者に提供し得る能力保持者を情報開示しようとすることに他ならない.そこでは,超音波工学に造詣が深く,超音波の広い診療領域における臨床適用の知識・技能を有していることが求められている.例えば心エコー図専門医ではなく超音波専門医であることは,心エコー・ドプラ法に長けているだけではなく,頭頸部や腹部を含めた超音波の医学応用全体の知識とそれぞれの診療知識・技能を有し,かつ自らの能力限界を理解していることが求められてきた.また,指導医では診療領域を設けるが,専門医にはそれを表に出すことなくやってきた.一方,受験者数が伸び悩んだ時期もあり,研修現場の実態に即すように診療領域ごとに受験しやすいような方策を導入する工夫も実施してきた.
【課題と展望】
今後専門医育成プロセスが重要視されるようになるため,直面する問題は超音波専門医に課す共通研修カリキュラムの内容であり,今ひとつは研修プログラムをどのようにして構築するかである.基幹研修施設を中核に研修施設群を設けて運用する研修プラグラムをいかに専攻医にアピールできるかが勝負といえる.また,指導医は,当面現行の学会認定指導医の延長上でいけると思われるが,いずれその診療実績と研究面での活動を含めた指導実績を含むレベルアップの実態を明白に示さねばならないであろうから,それらに対応できるようなシステム作りが課題である.その際,循環器領域であるならば「日本心エコー図学会」でのアクティビティも,専門医のみならず指導医更新要件に含めることなどが想定される.今後は,研究実績なども含めた実績評価が進むとされるだけに,相互に協働して検討していくことが望ましいと考える.