Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
コメディカル:基礎と血管領域

(S703)

メタボリックシンドローム患者におけるベザフィブラートの血管内皮機能への影響

Bezafibrate ameliorates postprandial lipemia and postprandial endothelial dysfunction in patients with metabolic syndrome

大野 佑子, 麻植 浩樹, 三好 亨, 杜 徳尚, 河野 晋久, 中村 一文, 永瀬 聡, 森田 宏, 草野 研吾, 伊藤 浩

Yuko OHNO, Hiroki OE, Toru MIYOSHI, Norihisa TOH, Kunihisa KONO, Kazufumi NAKAMURA, Satoshi NAGASE, Hiroshi MORITA, Kengo KUSANO, Hiroshi ITO

岡山大学大学院医歯薬学総合研究科循環器内科

Cardiovascular Medicine, Okayama University

キーワード :

【背景】
近年,食後の高トリグリセリド血症が虚血性心疾患をはじめとする心血管イベントの予測因子として知られ,いくつかの疫学調査の報告もなされている.食後高トリグリセリド血症は血管内皮機能の障害をきたし,動脈硬化を引き起こす可能性があると考えられる.フィブラート系の抗高脂血症薬であるベザフィブラートは従来のスタチン治療と比べ,特にトリグリセリドを低下させる作用が強く,食後高トリグリセリド血症の治療として期待される.そこで今回我々はメタボリックシンドローム患者において,ベザフィブラートの食後高脂血症に対する影響ならびに血管内皮機能低下への効果を検討した.
【方法】
メタボリックシンドロームと診断された成人男性5人(平均年齢38歳)を対象とし,クロスオーバー法を用いてベザフィブラート400mg/dayを2週間内服する群としない群(コントロール群)の2群に分けてこれらの脂質プロファイルと血管内皮機能に与える影響を検討した.具体的にはテストミール(脂質30g/m2を含む)を経口負荷し,負荷前および負荷後2,4,6,8時間後と経時的に血管内皮機能検査および血液検査を行った.血管内皮機能検査はユネクスイーエフを用いた血流依存性血管拡張反応検査(Flow-Mediated Vasodilatation [FMD])の測定を行った.
【結果】
脂質負荷後にコントロール群の血清トリグリセリド値は負荷前と比べ,負荷後2時間から4時間をピークに上昇し,%FMDは4時間をピークに低下を認めた.一方ベザフィブラート内服群では脂質負荷後の血清トリグリド値の上昇はコントロール群と比較し有意に抑制され,%FMDの低下の改善も認めた.
【考察】
メタボリックシンドローム患者においてベザフィブラートは脂質負荷による食後トリグリセリド血症,およびそれに伴う一過性の血管内皮機能障害を抑制し,動脈硬化の進展を予防する可能性が示唆された.