Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
コメディカル:その他

(S700)

ヨードアレルギー例と腎疾患例に対する造影超音波の有用性の検討

Contrast-enhanced sonography for patients with renal disease or allergic patients

千葉 崇宏1, 引地 健生1, 木田 真美2, 佐藤 修一2, 大山 葉子3, 長沼 裕子4, 石田 秀明5

Takahiro CHIBA1, Takeo HIKICHI1, Mami KIDA2, Shuuichi SATOU2, Youko OHYAMA3, Hiroko NAGANUMA4, Hideaki ISHIDA5

1栗原市立栗原中央病院放射線科, 2栗原市立栗原中央病院内科, 3秋田組合総合病院臨床検査科, 4市立横手病院内科, 5秋田赤十字病院超音波センター

1Radiology, Kurihara Municipal Kurihara Central Hospital, 2Internal Medicine, Kurihara Municipal Kurihara Central Hospital, 3Medical laboratory, Akita Kumiai General Hospital, 4Internal Medicine, Yokote Municipal Hospital, 5Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【はじめに】
腹部疾患に対する主な画像診断としては超音波,MRIとX線CT(以下,CT)が挙げられるが,CTでは,ヨードアレルギーや腎疾患例に造影検査が試行できないことがある.造影超音波法はその様な例に関しても問題なく試行しえる利点があり,造影超音波の有用性が際立つ状況である.今回我々は,当院および関連施設で試行した造影超音波検査中,ヨードアレルギー例と腎疾患例に対し造影超音波がどのような目的で試行され,十分な結果が得られたか,検討したので報告する.対象と方法:1)2011年10月から2012年9月までの1年間にヨードアレルギー例と腎疾患例に対しなされた造影著音波検査の比率と検査目的をretrospectiveに検討した.
【使用装置と造影剤】
日立社:Ascendus,東芝社製:AplioXG(中心周波数:3-4MHz).なお,造影法の手順は,使用超音波造影剤:Sonazoid (第一三共社)を用い,通常の,肝腫瘍の造影方法に準じた.
【結果】
A)ヨードアレルギー例.1)この期間に12例のヨードアレルギー例(M:F=5:7,年齢:35歳-78歳(平均52歳))に造影超音波検査がなされ,その期間の造影超音波全体に対する比率は12/2580(0.5%)であった.2)その目的は,悪性腫瘍に対する術前全身検索の一環6例,肝硬変経過中に指摘された肝内異常所見の精査として4例,その他2例であった.造影効果は全例で良好であった.なお,造影超音波検査後に体調に変化があった例も無かった. B)腎疾患例:1)この期間に35例の腎疾患例(M:F=28:7,年齢:28歳-87歳(平均68歳))に造影超音波検査がなされ,その期間の造影超音波全体に対する比率は35/2580(1.4%)であった.内訳は,急性腎不全2例,慢性腎不全31例,腫瘍の後腹膜浸潤による腎機能障害2例であった.2)その目的は,悪性腫瘍に対する術前全身検索の一環15例,肝硬変経過中に指摘された肝内異常所見の精査として13例,その他7例であった.造影効果は全例で良好であったが6例(6/35:17%)で造影剤の漏れがあり再注入が必要であった.なお,造影超音波検査後に体調に変化があった例は無かった.
【まとめと考察】
社会が高齢化するに従い何らかの疾患を有する例が増加している.そのため複数箇所の疾患を並存する例も少なくない.また高齢者では,体力的にも問題がありなるべく負担が少ない検査が望ましい.その意味では造影超音波検査は卵アレルギー例(今回の期間,疑診例も含め3例のみ)を除くとどのような状況でも施行可能であり,今後腹部疾患の精査として不可欠なものになると期待される.