Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
コメディカル:腹部と表在領域

(S696)

非アルコール性脂肪性肝疾患におけるControlled Attenuation Parameterの有用性の検討

Examination of the usefulness of Controlled Attenuation Parameter in non-alcoholic fatty liver disease

志田 隆史1, 磯辺 智範2, 岡本 嘉一2, 上牧 隆3, 正田 純一2

Takashi SHIDA1, Tomonori ISOBE2, Yoshikazu OKAMOTO2, Takashi KAMIMAKI3, Junichi SYOUDA2

1筑波大学大学院人間総合科学研究科, 2筑波大学医学医療系, 3筑波大学附属病院検査部

1Major, University of Tsukuba, 2Post, University of Tsukuba, 3Department, University of Tsukuba Hospital

キーワード :

【背 景】
非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)の診断は,肝生検がgold standardであるが,侵襲性が高いため,超音波を利用した非侵襲的方法に移行してきている.しかし,超音波検査は,客観性・定量性に欠けるという欠点を持つ.近年,非侵襲的に肝脂肪量を定量評価できるControlled Attenuation Parameter(CAP) と呼ばれる新しい検査法が現れ,注目を集めている.
【目 的】
本研究ではCAPによる肝脂肪量を測定し,CAP値と生化学データ,体組成データおよびMRSデータとの比較を行い,NAFLDの診断ならびに病態評価におけるCAPの有用性について検討することを目的とした.
【方 法】
対象は,診療ガイドライン(J Gastroenterol Hepatol 2007)にてNAFLDと診断した107例(NAFLD群)と肝疾患のない非肥満者30例(コントロール群)である.これらの対象に対し,CAP(Fibroscan 502, Echosens),MRS(3T MR装置,Philips),生化学検査および体組成測定(InBody 720, BIOSPACE)を実施し,相関関係を調べた.MRSについては,48例(NAFLD 36, 肝疾患のない非肥満者12)を対象とし,脂肪と水の信号比(脂肪/水)を求めた.生化学検査の項目は,AST,ALT,γ-GT,ChE,TG,FBS,HbA1cおよびinsulin値とした.さらに,中年肥満男性51名の減量療法(食事・運動)の前後におけるCAPと体組成の測定を行い比較検討した.
【結 果】
CAP値は,NAFLD群 272.4±44.5 dB/m(mean±SD),コントロール群 203.4±26.7 dB/mであり,有意差を認めた(P<0.01).CAP値のステージ分布において,NAFLD群ではS0は0%,S3は67%であったのに対し,コントロール群ではS3は0%,S1以下が97%を占め,NAFLD群は,コントロール群に比べてCAPのステージの高い症例が多かった(Figure).MRSにおいては,NAFLD群の脂肪(脂肪と水の信号比)は,コントロール群に比べて有意に高く(P<0.01),それぞれ,0.16±0.14(mean±SD),0.02±0.03であった.CAP値は,MRS値,AST,ALT,γ-GT,ChE,TG,FBS,HbA1cおよびinsulin値と高い相関関係を認めた.特にMRS値との相関は高く,Spearman解析で0.821であった.減量療法前後のCAP値は,ウエストヒップ比と内臓脂肪面積の減少に平行して有意に減少した.
【結 語】
CAPは肝における脂肪蓄積を非侵襲的にとらえることが可能であり,NAFLDの診断ならびにその病態評価において有用な新しいツールであると考えられる.