Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
コメディカル:腹部と表在領域

(S695)

慢性うっ血肝におけるFontan Bright Nodule(術後15例の検討)

“Fontan Bright Nodule” in chronic congestive liver (Study of 15 postopelative cases)

小池 要治1, 中野 幸一1, 近藤 良明2

Yoji KOIKE1, Koichi NAKANO1, Yoshiaki KONDO2

1長野県立こども病院放射線技術科, 2長野県立こども病院放射線科

1Department of Radiology, Nagano Children’s Hospital, 2Department of Radiology, Nagano Children’s Hospital

キーワード :

【目的】
左室低形成症候群などでフォンタン手術施行後長期経過観察中の小児に対する腹部超音波検査を実施した15例中11例で特徴的な超音波所見Fontan Bright Nodule(以下FBN)を認めた.1例の病理所見と対比し報告する.
【方法】
使用機種:GE社製Logiq7,日立アロカ社製Ascendus視覚評価基準を,高頻度に点状〜星状高エコー所見を認める症例をGrade3,散在性に認める症例をGrade2,一部に認める症例をGrade1,変化を認めない症例(−)として,術後経過年数との相関を調べた.
【結果】
所見 Grade3:1例,Grade2:5例,Grade1:5例,(−)4例.5年以上経過した症例からFBNが出現し,経時的に増加する傾向にあった.(Table.1)
【症例】
16歳男性,2000年5月にフォンタン術施行.2011年9月超音波検査施行,散在性に点状高エコー像を認める.(Fig.1) 病理組織診断はうっ血性肝硬変.組織学的には小葉中心部の中心静脈周囲を主体とする線維化と小葉構造の破壊(偽小葉結節形成),うっ血,類洞の拡張,線維化領域の出血,軽度の胆汁うっ滞,肝細胞脂肪変性を肝全体に認めた.明らかな腫瘍性病変を認めなかった.(Fig.2)
【考察】
フォンタン手術後の慢性肝うっ血による線維化のエコー所見と考えられるFBNは,術後5年以上経過した症例から現れ始めた.長期にわたる線維化では中心静脈周囲に線維化がおこり,グリソン鞘と網目状に連続し,肝組織の不均一化がおこる.エコー画像で点状高エコー像として描出されるのは,この不均一化に起因するものと考えられる.今回の検討では,エラストグラフィーの結果とBモードによるFBNが相関を示さなかった.Bモードによる肝実質の画像変化(FBN)がエラストグラフィーに比較し,臨床上肝線維化のより良い指標となると考えられる.