Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
頭頸部:頭頸部

(S688)

術中エコー観察が有用であった脊髄クモ膜のう胞の一症例

A Case of spinal arachnoid cysts changing size intra operation

小野 誠司1, 小柳 泉2, 吉野 雅美2, 会田 敏光2

Seiji ONO1, Izumi KOYANAGI2, Masami YOSKHINO2, Toshimitsu AIDA2

1北海道脳神経外科記念病院臨床検査科, 2北海道脳神経外科記念病院脳神経外科

1Department of Clinical Laboratory, Hokkaido Neurosurgical Memorial Hospital, 2Department of Neurosurgery, Hokkaido Neurosurgical Memorial Hospital

キーワード :

【はじめに】
当院では脊髄疾患においてアプローチする方向が後方から入り脊髄を露出するような手術において滅菌したマイクロコンベックスプローブを用いて術中観察を行っている.今回,脊髄のクモ膜のう胞手術中にエコーでの観察が大変効果的であった症例を経験したので報告する
【使用機器】
日立アロカ製prosoundα7
【症例】
77歳,男性,平成10年より両腋窩の疼痛出現.近医にて脊髄空洞症と診断され手術目的で当院受診.入院後,当院の術前画像診断所見ではMRIT2WIで第1〜4胸椎脊髄内に空洞を認め,その下部胸随領域では脊髄周囲にのう胞と思われる膜様構造で仕切られた領域を認めた.脊髄への圧迫も著明であるため,クモ膜のう胞と診断し平成24年8月に椎弓切除・のう胞腔摘出手術を施行した.術中エコーでは,最初に椎弓を切除直後の脊髄を観察したが,術前のMRI以上に前方側や側方にも膜様構造で仕切られた多くののう胞を認め,徐圧されたことにより,周辺ののう胞にも多くの内容液を認めた.さらに拍動性に上下し,内部の膜様構造の揺れる様子が観察できた.それにより手術の的確な判断材料を術者へ提供可能であった.硬膜切開後のクモ膜露出時さらに観察したが,さらなる徐圧の為,大きくのう胞が拡大している状況を知る事ができた.脊髄への圧迫の程度を推し量る事の出来る映像を得る事ができた.
【結語】
胸随領域のクモ膜嚢胞の症例を報告した.ダイレクトに変化する組織の観察は非常に有用であり,手術室という限られた空間でもコンパクト化するエコー機器がもたらす恩恵はいろいろな所で有益な情報を提供することができる.