Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
体表臓器:体表臓器

(S684)

乳腺管状癌の一例

A case of tubular carcinoma of the breast

長島 沙樹1, 2, 櫻井 健一1, 2, 原 由起子2, 榎本 克久2, 坂本 明子1, 3, 高階 幹1, 藤﨑 滋1, 谷 眞弓2, 天野 定雄2, 越永 従道2

Saki NAGASHIMA1, 2, Kenichi SAKURAI1, 2, Yukiko HARA2, Katsuhisa ENOMOTO2, Akiko SAKAMOTO1, 3, Motoi TAKASHINA1, Shigeru FUJISAKI1, Mayumi TANI2, Sadao AMANO2, Tsugumiti KOSHINAGA2

1医療法人社団藤﨑病院外科, 2日本大学医学部乳腺内分泌外科, 3東京女子医科大学医学部内分泌外科

1Department of Surgery, Fujisaki Hospital, 2Division of Breast and Endocrine Surgery, Department of Surgery, Nihon University School of Medicine, 3Division of Endocrine Surgery, Tokyo Women’s Medical University

キーワード :

症例は34歳女性.約4年前に左乳房C領域に腫瘤を自覚し,当科受診.初診時,マンモグラフィー検査上は異常所見を認めなかった.超音波検査では,腫瘤は左C領域に7.4×6.3mmの低エコー腫瘤として描出された.腫瘤の辺縁は一部不整であり,内部は不均一充実性であった.Color Doppler imagingでは腫瘤内に血流信号は認めなかった.Connective tissue signが陽性であったが,前方境界線と後方境界線の断裂は認めなかった.MRI検査では明らかな腫瘤性病変を描出できなかった.腫瘤に対して針生検を施行し,浸潤性乳管癌(硬癌)の診断であった.造影CT検査では腋窩リンパ節腫脹や遠隔転移を認めなかった.精査の結果,左乳癌(T1N0M0 stageⅠ)の術前診断で,乳房部分切除術およびセンチネルリンパ節生検術を施行した.最終病理診断は浸潤性乳管癌,特殊型,管状癌(ER+,PgR+,HER-2:0)であった.術後,残存乳房への放射線照射を施行し,現在ホルモン治療を行っている.管状癌は浸潤癌のうち特殊型に分類され,その頻度は2%以下と低く,予後は良好とされる.画像診断では特徴的なものはないとされているが,線維成分を多く含むことが多いため,超音波検査では後方エコーの減弱を伴う不整な低エコー腫瘤像を呈することが多いとされるが,本症例では後方エコーの減弱は伴わなかった.今後も症例を積み重ねて検討していく必要があると考えられた.