Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
腎泌尿器:腎泌尿器

(S678)

子宮筋腫による排尿障害は意外にポピュラー(?)

Urinary disturbances caused by myoma uteri are so common ?

大口 郁子1, 重光 浩一1, 西 希代子1, 佐野 誉志1, 尾上 篤志2, 秋山 隆弘3

Ikuko OHGUCHI1, Kouichi SHIGEMITSU1, Kiyoko NISHI1, Yoji SANO1, Atsushi ONOUE2, Takahiro AKIYAMA3

1医療法人温心会堺温心会病院中央検査部, 2高橋計行クリニック超音波室, 3医療法人温心会堺温心会病院泌尿器科

1Clinical Laboratory, Sakai Onshinkai Hospital Clinical Laboratory, 2Ultrasonic Laboratory, Takahasi Kazuyuki Clinic, 3Urology, Sakai Onshinkai Hospital

キーワード :

【目的】
生殖期の若年〜壮年女性の排尿困難を主とする排尿異常の訴えに時に遭遇する.その最も多い原因として骨盤臓器脱(高齢女性におけるそれよりははるかに低頻度であるが)や抗うつ剤の大量投与などが挙げられるが,これらに該当しない症例でUS検索により子宮筋腫が見つかることがよくある.しかしながら,筋腫が排尿障害の真の閉塞原因として働いているかどうかの確証を得るのは必ずしも容易ではなく,むしろ婦人科医への対診で明確な否定見解にすらしばしば遭い,筋腫の切除にまで到達するケースは決して多くない.自験例の日常外来診療で可能な排尿機能検査の範囲で,筋腫と下部尿路閉塞の因果について検討したい.
【対象】
当院泌尿器科外来の過去約3年半(平成21年4月〜)における,排尿困難を訴え且つUS上で子宮筋腫の検出された症例をretrospectiveに可能な限り抽出し,排尿機能検査を分析する.子宮筋腫を切除した2症例については術前後の排尿機能検査を分析する.
【方法】
US検査は経腹走査で行い,CT検査も可能な範囲で施行した.排尿機能検査は膀胱平滑筋の観察,尿流測定Uroflowmetry,US残尿量測定を施行した.Pressure flow studyまで施行できた症例はない.筋腫の手術施行例については術前後の排尿機能検査を可能な範囲で施行した.
【結果】
手術症例2例の内,1例は手術により排尿状態の著明な改善を見,筋腫による尿路閉塞が立証された.他の1例では手術による排尿機能の改善は幾分見られたが,先の例ほど顕著ではなかった.手術非施行例では,筋腫切除効果に言及できないもののUS所見と排尿機能検査所見から個々の分析を加える.
【考察と結論】
子宮筋腫が排尿障害の原因として働くか否かについては,筋腫と膀胱の位置関係により筋腫のmass effectによる膀胱頸部の閉塞機転の有無が関わることは論を俟たないが,泌尿器科医の若干のover-estimation傾向と婦人科医の排尿機能に対する無理解から来るunder-estimation傾向という,認識の違いによる乖離にも問題が無いとは言えない.