Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
腎泌尿器:腎泌尿器

(S676)

BCG誘発肉芽腫性前立腺炎の3例

Three cases of BCG-induced granulomatous prostatitis

落合 厚

Atsushi OCHIAI

愛生会山科病院泌尿器科

Urology, Aiseikai Yamashina Hospital

キーワード :

【はじめに】
筋層非浸潤性膀胱癌の治療として,TURBTで完全切除が困難な腫瘍やCISに対する治療目的,また再発・進展リスクの高い症例の再発予防目的でBCG膀胱内注入療法が行われる.またBCG維持注入療法の導入により再発率の低下が期待できるが,副作用の出現にも注意する必要がある.当院でBCG維持療法導入後,BCG誘発肉芽腫性前立腺炎を3例経験し,経直腸的超音波断層法で臨床経過を観察したので報告する.
【症例1】
56歳男性.CISに対しイムシスト導入療法施行.3カ月目,6か月目に維持療法施行.排尿障害増悪にて来院.直腸診で硬結を認め,経直腸的超音波検査で辺縁域に限局性の低エコー領域を認めた.生検施行し病理結果で肉芽腫と診断.クラビット内服約1カ月で腫瘤は消失した.
【症例2】
79歳男性.CISに対しイムシスト導入療法施行.3カ月目に維持療法2回施行後排尿痛増悪にて3回目治療中止.会陰部に硬結触知したため超音波検査施行.陰茎海綿体側方に19mm大の腫瘤と前立腺内両葉に広範囲の低エコーを認めた.MRIで会陰部と前立腺に造影効果のある腫瘤を認めた.会陰部と前立腺の生検およびドレナージ術施行し膿排出.病理結果で乾酪壊死,類上皮細胞を認めた.クラビット内服で効果不十分のため,抗結核薬治療を開始.3カ月の内服で腫瘤は著明に縮小した.
【症例3】
80歳男性.TUR-BT治療の既往あり.尿管CISに対しDJステント挿入にてイムシスト導入療法施行.6回終了後,頻尿症状著明.直腸診では硬結触知せず.経直腸的超音波検査で辺縁域に低エコー領域 を認めた.ドレナージで膿排出なし.生検の病理結果で乾酪壊死,類上皮細胞を認めた.クラビット内服1カ月で効果なく,抗結核薬治療を開始し経過観察中である.
【まとめ】
肉芽腫性前立腺炎の診断には直腸診,前立腺超音波検査,PSAの測定,尿検査が用いられ,症候性であれば抗結核薬の投与が検討される.今回,経直腸的超音波断層法は,その検出,治療法の選択,経過観察に特に有用であった.