Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:症例Ⅱ

(S672)

子宮頸部の超高分化型粘液性腺癌とその類縁疾患の4例

A highly differentiated endocervical adenocarcinoma of uterine cervix and the related disorders: a report of four cases

杉原 武

Takeru SUGIHARA

帝京大学医学部産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Teikyo University School of Medicine

キーワード :

【緒言】
Minimal deviation adenocarcinoma(MDA)はAdenoma malignumとも呼ばれていた超高分化型の粘液性腺癌で,子宮頸部腺癌全体の約1%を占める.また,Lobular endocervical glandular hyperplasia (LEGH)は形態学的にMDAと類似する頸管腺の増殖性の良性疾患であり,その前癌病変である可能性も指摘されている.経腟超音波とMRIから上記疾患を疑い,診断,治療に至ったMDAの1例とLEGHの3例を報告する.
【症例】
症例1:45歳3経妊3経産,ニューロパチーの原因精査目的でのMRIで,頸部腫大を認められ当科紹介受診.経腟超音波(図)で,頸部に多数の小嚢胞の集簇を認めたが,細胞診に異常はなく,定期的に経過観察していた.しかし,頸部嚢胞の増大と水様性帯下の増加があり,円錐切除術を施行,MDAと診断されたため,広汎子宮全摘術に至った.病理学的にLEGHが先行していた可能性が示唆された.症例2:46歳0経妊,月経不順を主訴に近医受診.超音波で子宮頸部に4cm大の嚢胞性病変あり,1年ほど経過観察されていたが,嚢胞数増加が認められたため,MRI撮影後,当科を紹介受診した.内診で多量の粘液性帯下を認め,超音波上も頸部に多発嚢胞を認めたため円錐切除術施行,LEGHを疑う所見があったが確定診断に至らなかった.その後経過観察していたが,1年後細胞診で腺異型細胞が出現し,子宮全摘術を施行し,LEGHと確定診断した.症例3:50歳3経妊0経産,近医にて多量の頸管粘液と頸部に48×28mm大の粘液貯留像を指摘され当院紹介.MRI上子宮頸部に嚢胞多発しており,円錐切除術施行.Atypical LEGHの診断で単純子宮全摘術+両側付属器切除術を施行した.症例4:46歳1経妊0経産,下腹部痛と発熱があり近医受診,子宮頸部に5cm大の嚢胞性病変,10cm大の卵巣嚢腫,MRIで子宮頸部に多房性嚢胞が認められ,当院紹介受診.MDAまたはその類縁疾患を疑い円錐切除術施行.Atypical LEGHの診断であり単純子宮全摘術+付属器切除術の方針とした.
【考察】
通常,子宮頸部病変は細胞診での異常およびその後の生検により診断がなされるが,MDAおよびLEGHは細胞診での異常が見られないことが多いため,経腟超音波検査を中心とする画像診断の重要性が高い.画像の特徴としては,病変が頸管の比較的子宮体部寄りに位置し,病巣の中心部ではびまん性あるいは小嚢胞性病変が集簇し,周辺部では比較的大型の嚢胞がみられる.経腟超音波で上記所見を認めた際には積極的な対応が望ましい.