Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:胎盤異常・分娩

(S671)

助産師にとっての分娩時児頭下降度評価に対する経会陰超音波の有用性に関する検討

Usefulness of the transperineal ultrasound examination for the assessment of fetal head descend during 2nd stage of labor for midwife

青木 まり子, 田嶋 敦, 高水 藍, 野上 直子, 中嶋 友美, 松丸 葉月, 平崎 真由子, 吉田 幸洋

Mariko AOKI, Atsushi TAJIMA, Ai TAKAMIZU, Naoko NOGAMI, Tomomi NAKAJIMA, Hazuki MATSUMARU, Mayuko HIRASAKI, Koyo YOSHIDA

順天堂大学医学部附属浦安病院産婦人科

Obstetrics and Gynecology, Juntendo University Urayasu Hospital

キーワード :

【目的】
分娩管理のためには分娩進行を正確に評価することが大変重要である.評価方法には内診による児頭下降度の測定があるが,評価する検者間の差が大きい.しかし内診という特性上,客観的評価が困難であり習得のための教育に課題があった.そこで経会陰超音波を使用し児頭下降度の客観的評価を行い,内診所見と比較してその有用性について検討した.
【対象と方法】
GE Healthcare社のVoluson iを使用し,陣痛発来及び分娩誘発を開始した37週以降の産婦34例に対して内診と同時に経会陰超音波検査を計60回行った.画像をSonography-based Volume Computer Aided Display labor(SonoVCAD labor)で解析し恥骨長軸と児頭先端との角度Head progression angle(PA°)と児頭下降度の評価(Sp: De Leeのstation方式)とその時点での内診所見を比較検討した.内診は経験年数1〜16年目の助産師15名が実施し,その内訳は1〜3年目が9名,4〜9年目2名,10年目以上4名である.
【結果】
内診でのSpと経会陰超音波のPA°を比較すると,Sp−3におけるPA°:95〜139°(4例),Sp−2:95〜142°(13例),Sp−1:114〜150°(19例),Sp±0 :119〜151°(7例),Sp+1:125〜160°(8例),SpP+2:130〜161°(7例),Sp+3:152〜153°(3例)とそれぞれの下降度において,PA°1〜48°と大きな検者間の差が認められた.経験年数別に比較すると,1〜3年目ではSp−2におけるPA°:95〜142°(±48°),Sp−1:114〜150°(±36°),Sp±0 :126〜151°(±28°),Sp+1:125〜139°(±14°),Sp+2:144〜161°(±28°),Sp+3:152〜153°(±1°)と幅が1〜48°認められた.一方10年目以上ではSp−1:120〜131°(±6°),Sp±0:119°(±0°),Sp+1:144〜160°(±16°),Sp+2:130〜135°(±5°)と幅が5〜16°で1〜3年目と比較すると少ない傾向があった.
【結語】
内診により児頭の下降を評価する際には,骨盤腔内の触知・Hodgeの平行平面との位置関係・De LeeのStation方式を総合した診断が必要となる.SpはHodgeの平行平面系の第3平面上坐骨棘間線からの児頭の距離を推定するため,助産師個人が診断の基準と根拠をもって評価する必要がある.今回の結果より助産師によるSpの評価は検者間差があることがわかった.この検者間差は有意差を認めなかったがSpが上方ほど大きく,かつ助産師の経験年数が少ない検者ほど幅が大きい傾向にあった.内診は他の看護技術と異なり客観的な評価が行えず,教育方法も多様で個人の習得状況が把握しづらくなっている.今後,経会陰超音波を使用し診断基準の客観的評価や根拠の指導に活用することで習得を促し,診断の一貫性に有用であることが示唆された.