Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:胎盤異常・分娩

(S670)

帝王切開瘢痕部妊娠の4例

Four cases of the cesarean scar pregnancy

鎌田 英男, 梁 栄治, 松本 泰弘, 木戸 浩一郎, 綾部 琢哉

Hideo KAMATA, Eiji RYO, Yasuhiro MATSUMOTO, Koichiro KIDO, Takuya AYABE

帝京大学医学部附属病院産婦人科

Obstetrics and Gynecorogy, Teikyo University

キーワード :

【緒言】
帝王切開の増加に伴い,帝王切開瘢痕部妊娠も増加し,異所性妊娠の6%を占めるとの報告もある.妊娠初期の経腟超音波断層法で帝王切開瘢痕部妊娠と診断され,さまざまな経過をとった4例を報告する.
【症例1】
33歳1回経妊1回経産,帝王切開歴1回,続発性不妊症のため当院でIVF-ET施行し妊娠した.妊娠6週2日,不正出血のため当院受診し,頸管妊娠疑いと診断され入院したが,再度の経腟超音波検査にて,頸管前壁の帝王切開瘢痕部に胎嚢を認めた.胎嚢周囲の血流を認めたため,妊娠6週5日子宮動脈塞栓術を施行,血流の低下を確認したうえで経腹超音波下に内容除去術を施行した.術後経過良好であった.
【症例2】
24歳3回経妊3回経産,帝王切開歴3回,自然妊娠.妊娠5週3日当院初診.子宮内に胎嚢を認めなかった.妊娠6週0日,経腟超音波検査にて子宮下部に胎嚢を確認.妊娠7週2日絨毛有毛部が帝王切開瘢痕部に楔状に伸びていることから瘢痕部妊娠と診断した.胎嚢周囲の血流は乏しく,妊娠7週6日,経腹超音波下に内容除去術を施行した.出血は150mlであり,術後経過良好であった.
【症例3】
40歳1回経妊1回経産,帝王切開歴1回,自然妊娠.性器出血を認めたため,妊娠5週4日当院救急外来を受診した.経腟超音波検査にて子宮下部前璧内に楔状に存在する胎嚢を認め,瘢痕部妊娠が疑われた.胎芽心拍は認めなかった.妊娠6週4日胎嚢周囲の血流が乏しいため妊娠6週5日,経腹超音波下に内容除去術を施行した.出血は少量であった.術後1か月経っても尿中hCGが800〜1,000IU/Lであったが,術後2か月で陰性化した.
【症例4】
43歳1回経妊1回経産,帝王切開歴1回,自然妊娠し妊娠7週前医を受診し,頸管妊娠を疑われ,当院紹介受診となった.経腟超音波検査にて帝王切開瘢痕部に着床していると診断した(図1).胎嚢周囲に血流を認め,子宮筋層は2.3mmと薄く,今後の挙児希望もないため子宮全摘術を施行した.摘出検体にて帝王切開瘢痕部妊娠が確認された.術後経過良好であった.
【考察】
通常より下方に胎嚢がある場合,瘢痕部妊娠以外に頸管妊娠,進行流産も鑑別診断にあげられる.帝王切開の既往があり子宮下部の筋層に楔状に発育している胎嚢を認めた場合は瘢痕部妊娠と考えられる.治療方針の決定には胎嚢周囲の血流の程度を評価することが重要と思われた.