Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
産婦人科:症例Ⅰ

(S668)

胎児診断可能であった軟骨無発生症の1例

Prenatal diagnosis of Achondrogenesis

笹原 淳, 山下 亜貴子, 浮田 真吾, 太田 志代, 嶋田 真弓, 山本 亮, 日高 庸博, 石井 桂介, 光田 信明

Jun SASAHARA, Akiko YAMASHITA, Shingo UKITA, Shiyo OHTA, Mayumi SHIMADA, Ryo YAMAMOTO, Nobuhiro HIDAKA, Keisuke ISHII, Nobuaki MITSUDA

大阪府立母子保健総合医療センター産科

Obstetrics, Osaka Medical Center and Research Institute for Maternal and Child Health

キーワード :

【緒言】
胎児骨系統疾患は様々な個別の疾患を含んだ総称である.児の予後は,比較的軽症な例から長期生存が不可能な例まで幅広く,適格な胎児診断と,患者および家族が児を受け入れるためにより正確な情報提供が必要である.超音波診断の普及,機器の性能向上により多くの骨系統疾患が出生前に診断可能となってきている.近年,骨化や石灰化の程度を評価するために3D-CTを用いた胎児骨系統疾患例に対する診断が多く報告されている.軟骨無発生症は本邦では非常に希な骨系統疾患である.今回我々は超音波検査のみで診断が困難であり,3D-CT検査を補完的に用いる事で,出生前診断が可能であった軟骨無発生症2型を経験したので報告する.
【症例】
29歳,1経産婦で,妊娠22週に胎児四肢短縮を主訴に紹介となった.超音波検査にて,胎児大腿骨長/腹部周囲長0.07,胸郭周囲長/腹部周囲長0.65と著明な四肢短縮および樽状胸郭低形成を認めた.頭蓋骨は円形で超音波プローブによる圧迫変形はなく,手指の異常は認めなかった.致死性骨異形成症1型や骨形成不全症2型など予後不良な胎児骨系統疾患が疑われた.その後の精査においても胎位により脊椎の評価が不可能であったため,妊娠32週に3D-CT検査を施行したところ,特徴的な椎骨の非骨化を認めた.超音波検査所見と併せて軟骨無発生症2型と診断した.妊娠37週に分娩誘発を行い,骨盤位経膣分娩となった.児は出生後約1時間で死亡し,肉眼所見および全身X線所見より軟骨無発生症と診断した.
【結語】
超音波検査に加えて3D-CT検査を補完的に用いる事で,軟骨無発生症2型の胎児診断が可能であった.