Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
消化器:消化器・その他

(S654)

消化器内科医が施行した小児腹部超音波検査の検討

Abdominal echographic examination for infant by gastroenterologist

児玉 尚伸1, 野々村 和男2

Masanobu KODAMA1, Kazuo NONOMURA2

1守山市民病院消化器内科, 2守山市民病院小児科

1Gastroenterology, Moriyma City Hospital, 2Pediatrics, Moriyama City Hospital

キーワード :

【背景】
小児画像診断では被爆について成人以上に配慮が必要であり,CT検査の適応はなるべく抑制的に考える必要がある.小児では検査中,静止できない場合があり,MRI検査では体動が画像の鮮鋭度を低下させ,体動のためMRI検査は小児には施行しにくい傾向がある.小児腹部領域の画像診断において,超音波検査は被爆がなく,簡便であり,鎮静を必ずしも必要とせず,有用な検査であるが,成人とは異なる病態に対する不安感等のため,成人を主な対象とする超音波検査施行医に,小児を忌避する傾向がある.成人を主な対象とする超音波施行医であっても,小児科医と情報交換を密にすることにより,成人と同様に小児に対しても腹部超音波検査を行うことは可能であると考えられる.
【目的】
当院で小児科から消化器内科に依頼があり,消化器内科医が施行した小児腹部エコーの現状を検討した.
【方法】
H23年8月からH24年6月まで小児科から消化器内科に腹部エコー検査の依頼のあった10人を対象とした.コンベックス型またはリニア型プローブを用い,内科医1人(+小児科医1人)と看護師1人の体制で施行し,鎮静は行わず,体動時は看護師,お母さんの2名で抑えてもらうこととした.検査前に疑われる病態を担当小児科医に確認し,検査目的を明確にしてから検査を開始した.内科で経験することが少ない病態,有所見率,検査時間,体動の有無,検査目的達成率,他の腹部画像診断の併用について検討を行った.
【結果】
患者背景 年齢は平均7.63歳(生後18日- 15歳)であり,新生児1人(生後18日),乳児 3人(10か月,1歳7か月,2歳)であった.性別は男児5人,女児5人であり,男女同数であった.1.内科で経験することが少ない病態 内科で経験することが少ない病態は全体の50% (5例/10例)であり,6歳以下では80% (4例/5例)であった.内科で経験することが少ない病態の内訳は,遷延性黄疸および哺乳後嘔吐(生後18日男児),間欠的白色便(1歳7か月男児),紫斑病(2歳女児,4歳男児),神経線維腫症のfollow(11歳女児)であった.成人と類似した病態の内訳は,消化管異物(電池)(生後10か月女児),腹痛(13歳男児,15歳女児),血管炎(14歳男児),体重減少(15歳女児)であった.2.有所見率 有所見率は全体で40% (4例/10例)であり,6歳以下では60% (3例/5例)であった.3.検査時間 検査時間は平均19.8分(9-32分)であり,全体的に検査時間が長い傾向があった.理由として全例に消化管,卵巣・子宮(女児),膀胱のスクリーニング施行していることが考えられ,新生児,腹痛の精査では特に検査時間が長い傾向がみられた.4.検査時の体動および5.検査目的達成率 検査時の体動は0-6歳においては4/5例で体動あるが,検査目的は達成でき,1例(10ヶ月女児)で強い体動あり,検査目的は達成できなかった.7−15歳においては,ほぼ成人と同様に検査できた.全体として検査目的は90%(9/10例)にて達成できた.6.他の腹部画像診断の併用 併用画像診断は,超音波検査施行日の1か月前から1か月後までに施行した腹部画像診断と定義し,他の画像診断併用率70% (7/10),腹部CT, MRI併用率40% (4/10)であった.画像診断の種類の内訳は,単純X線6人,CT 3人(紫斑病2例,虫垂腫大1例)MRI 1人(左上腹部痛1例)であった.
【結語】
成人を主な対象とする消化器内科医であっても小児科医から助言を受けながら小児腹部エコー検査が可能であった.