Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
循環器:先天性心疾患・その他

(S646)

経食道3D心エコーがunroofed coronary sinusの診断に有用であった一例

A case report;Usefulness of transesophageal three dimentional echocardiography for diagnosis of isolated unroofed coronary sinus

中野 裕介, 岩本 眞理, 鉾碕 竜範, 志水 直

Yusuke NAKANO, Mari IWAMOTO, Tatsunori HOKOSAKI, Nao SHIMIZU

横浜市立大学附属病院小児循環器科

Pediatric Cardiology, Yokohama City University

キーワード :

【はじめに】
unroofed coronary sinusは冠静脈洞の壁に欠損があることで,左房から右房へ心房レベルでの左右短絡を生じる比較的稀な疾患である.経胸壁心エコー(以下TTE)では右心系の容量があるのにも関わらず心房中隔に欠損孔を認めないことから疑われるが,TTEで実際の欠損孔自体を観察,指摘するのは困難なことが多い.
【症例提示】
34歳女性.妊娠中に心電図上の右脚ブロックとTTEでの軽度肺高血圧を指摘されていた.分娩後に動悸,息切れ等の心不全症状が出現したため,前医入院して精査を受けたところ,TTEで一次孔心房中隔欠損症が疑われた.心臓カテーテル検査では肺動脈楔入圧13mmHg,右肺動脈圧35/5(平mean21)mmHg,右室圧42/e11mmHg 左室圧135/e12mmHgで,右房におけるサチュレーションのO2 step-upから肺体血流比(以下Qp/Qs)は6.5と高肺血流の状態であった.手術適応と判断され,当院に紹介受診された.当院施行のTTEでは,明らかな心房中隔欠損や肺静脈還流異常を指摘できないものの右心系と冠静脈洞の拡大が顕著で,推定のQp/Qsは3.0であった.左上肢からのコントラストエコーを施行したところ,右房内にコントラストが充満する際に冠静脈洞部はコントラストフリーとして残るとともに,右房への冠静脈洞開口部にはネガティブジェットを認めた.上記所見から左上大静脈遺残を伴わない孤立性unroofed coronary sinusが強く疑われた.経食道エコー(以下TEE)を施行したところ左房と拡大した冠静脈洞の間に欠損孔が明瞭に指摘でき確定診断に至った.また,3D-TEEを併用することで径15*14mmの欠損孔の全景を観察可能であった.心臓外科にて心内修復術を施行後は経過良好で術後14日で退院となった.
【まとめ】
TTE所見から孤立性unroofed coronary sinusの存在が強く示唆されたが,TEEを施行することで確定診断に至った.特に3D-TEEを併用することで欠損孔の全体像が把握でき,より正確な術前情報を心臓外科医に提供可能となった.