Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般ポスター
循環器:血管

(S640)

右心内血栓を伴う急性肺血栓塞栓症の治療経験

Treatment of Acute Pulmonary Thromboembolism with Right Heart thrombus

杉山 祐公1, 清川 甫1, 益原 大志1, 徳弘 圭一1, 田畑 強志2, 佐々木 健2, 東丸 貴信2, 野池 博文1

Yuko SUGIYAMA1, Hajime KIYOKAWA1, Taishi MASUHARA1, Keiichi TOKUHIRO1, Tsuyoshi TABATA2, Takeshi SASAKI2, Takanobu TOMARU2, Hirofumi NOIKE1

1東邦大学医療センター佐倉病院循環器センター, 2東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理機能検査部

1Department of Cardiology, Toho University Sakura Hospital, 2Department of Clinical Physiology, Toho University Sakura Hospital

キーワード :

【はじめに】
急性肺血栓塞栓症の4%に右心内血栓が認められ予後不良であると報告されている.今回我々は,右心内血栓を伴う急性肺血栓塞栓症の2症例を経験したので報告する.
【症例1】
41歳男性.右アキレス腱断裂のためギプス固定中であった.前胸部違和感が数日間持続し2012年7月に近医より紹介受診となった.採血にてD-ダイマー高値であり,胸部CTで右肺動脈基部に大きな血栓を認めた.心エコーで右房および右室内に低輝度でもやもやとして可動性を有する血栓を認めた.ギプス除去後の右下腿静脈には深部静脈血栓を認めた.入院時のバイタルは比較的安定しており非ショック例であったが,右心内血栓を伴う急性肺血栓塞栓症のため,再発した際には致死的になると判断し,入院翌日に血栓溶解療法としてモンテプラーゼ160万単位の単回投与を行った.その後の心エコーで右心内血栓は消失し,抗凝固療法を継続することで右肺動脈基部の血栓も消失して杖歩行可能な状態となり退院した.
【症例2】
75歳男性.1週間前より息切れ・咳嗽・胸痛が出現し2012年11月に当院受診した.心電図は頻脈性心房細動であった.採血にてD−ダイマー高値であり,胸部CTで,両側肺動脈基部の血栓と右房内血栓および左大腿静脈の深部静脈血栓を認めた.心エコーで右房内血栓がはっきりと認められ不整形で可動性を有していた.入院時のバイタルは比較的安定しており,非ショック例であったが,右房内血栓を伴う急性肺血栓塞栓症のため,再発した際には致死的になると判断し,入院翌日に両側肺動脈血栓内膜摘出術および右房内血栓摘出術を施行した.術中TEEでは右房内血栓は右房壁の索状物に牽引され可動性を有していた.術後,右前大脳動脈領域の出血性梗塞を併発し現在も入院加療中である.
【考察】
急性肺血栓塞栓症に右心内血栓を認めた2症例を経験した.1例は若年者で軟らかそうな血栓であり血栓溶解療法を施行し,1例は高齢者ではっきとしたisoechoicな血栓であり外科的手術を施行した.急性肺血栓塞栓症に合併した右心内血栓に対する確立した治療法はなく,個々の症例に応じて慎重に判断する必要性がある.