Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
整形外科:整形外科

(S629)

超音波による,高齢リウマチ患者の肩関節病変の評価

Shoulder joint evaluation by musculosketal ultrasonography in elderly patients with rheumatoid arthritis

佐久間 真奈美1, 鈴木 暁岳2, 野口 科子1, 水谷 香織1, 黒﨑 久恵1, 染谷 元樹1, 菊地 英豪2, 平原 慎也2, 岡井 隆弘2

Manami SAKUMA1, Akitake SUZUKI2, Shinako NOGUCHI1, Kaori MIZUTANI1, Hisae KUROSAKI1, Motoki SOMEYA1, Eigo KIKUCHI2, Shinya HIRAHARA2, Takahiro OKAI2

1河北総合病院画像診断部, 2河北総合病院リウマチ・関節・膠原病センター

1Department of Radiology, Kawakita General Hospital, 2Center for Rheumatology and Joint Surgery, Kawakita General Hospital

キーワード :

【はじめに】
関節リウマチ(RA)は人口の0.7%に見られ,進行性に関節破壊を来す慢性疾患である.従来生命予後は非罹患患者と比較して10年は短いと言われていたが,近年,生物学的製剤が登場したことでRAの治療成績は革命的に向上し,それと同時に診断技術にも急激な進歩がみられている.特に関節超音波診断(MSUS)はここ数年の間に非常に脚光を浴びてきており,RA診療における重要性は数多く報告されてきている.しかしながらRA患者における肩関節のMSUS所見を検討した報告はあまりない.今回我々は特に高齢RA患者の肩関節病変の詳細をMSUSにより分析した.
【対象・方法】
2012年10月1日〜11月30日までの間に,75歳未満のRA患者(YRA)51名(平均 55.7±13.4歳)と75歳以上のRA患者(ERA)30例(平均81.8±4.3歳)に肩関節のMSUSを行った.検査部位は症状の強い一側のみとし,全例において上腕二頭筋長頭腱(LBT),肩峰下・三角筋下滑液包(SUB),肩甲上腕関節(GHJ)を評価した.滑膜炎の程度は,パワードプラシグナル(PDS)の強さによって0〜3の4段階に分類し,各部位のスコアを記録するとともに3ヶ所のPDS値の合計値(t-PDS)を算出した.その後YRAとERA間の各部位のPDS値,t-PDS値の差異を分析,さらにERAにおいては同日に採取した血清MMP-3値,CRP値との相関性を分析した.
【結果】
YRAと比較してERAでは多くの患者で肩関節にPDSが認められた(YRA 45.1%, ERA 60.0%).またYRAではSUBにPDS陽性者が多かったのに比較してERAではLBTに病変が多く認められ,特にLBTについてはERAではYRAと比較して統計学的に有意に陽性者が多かった(YRA 23.5%, ERA 53.3%, p=<0.05).ERA患者では,LBT,SUB,GHJの各PDS値とMMP-3値の間には正の相関傾向が認められ(r=0.34, r=0.33, r=0.34),それらを統合した肩関節のt-PDS値と血清MMP-3との間には有意な正の相関関係が認められた(r=0.40, p<0.05).
【結論】
ERAではYRAと比較して肩関節炎の罹患者が多発し,特にLBTの腱鞘滑膜炎が多く認められた.また肩関節の各部位のPDS値やt-PDS値はMMP-3値と相関関係にあり,特にERAについては肩関節炎の重要性が示唆された.