Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
頭頸部:頭頸部

(S624)

Virtual Touch Tissue Quantificationによる正常甲状腺の硬さの評価

Virtual Touch Tissue Quantification for Evaluation of Normal Thyroid Glands

松田 枝里子1, 福原 隆宏1, 宮木 真里2, 大田原 愛2, 北野 博也1

Eriko MATSUDA1, Takahiro FUKUHARA1, Mari MIYAGI2, Ai OTAHARA2, Hiroya KITANO1

1鳥取大学医学部感覚運動医学講座耳鼻咽喉・頭頸部外科学分野, 2鳥取大学医学部附属病院検査部

1Department of Otolaryngology, Head and Neck Surgery, Faculty of Medicine, Tottori University, 2Clinical Laboratory, Tottori University Hospital

キーワード :

【はじめに】
組織弾性評価は,組織弾性イメージングと組織弾性定量に大別される.組織弾性イメージングは広く使用されるようになったが,関心領域内での相対的な評価であるため離れた対象間の比較は困難である.一方Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)のような組織弾性定量は,頸部対側の比較や患者間での比較が出来る可能性がある.しかし現在のところ,頸部での報告はほとんどなく,測定方法の検討も十分になされていない.今回われわれは,甲状腺超音波検査において,正常甲状腺のVTTQでの測定値(Vs値)を長軸断面(縦)と横断面(横)の2通りで測定し,結果を比較検討した.
【対象】
2012年10月上旬から2012年12月中旬までの間に当科で甲状腺超音波検査を施行した患者のうち,正常甲状腺30例(平均年齢61.2歳,男性9例,女性21例)の38葉を対象とした.
【方法】
装置は持田シーメンス社製ACUSON S2000を使用し,測定は4人の検査者により行った.測定部位は甲状腺の右葉または左葉とした.全例において縦と横の2通りで,それぞれ同一部位にてVs値を連続5回測定し,5回の平均値(Vmean)を算出した.
【結果】
38葉のVmeanの平均値は,縦:2.30m/s,横:1.85m/sだった.Vmeanの標準偏差は,縦:0.552m/s,横:0.519m/sだった.
【まとめと考察】
縦の測定値が横より高い傾向にあった.この理由は定かでない.しかし,測定値のばらつきは縦と横で差がなかったため,他疾患や他臓器と比較し,縦と横の測定値はどちらが有用なのかを検討する必要があると思われた.そして,測定値に影響する要素は,プローブの当て方のほかに呼吸性変動や拍動なども考えられ,これらを考慮した上でさらに症例を重ね,甲状腺に適した測定方法を検討していくことが重要と思われた.また,測定値のばらつきは,同一症例内より症例間の方がはるかに大きい結果となった.これについて,Bモードで同様の所見を呈する症例間でも実際の硬さには差があるのか,あるいは症例によって測定値に影響するバイアス要因があるのかを,検討していく必要があると思われた.