Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
血管:血管

(S620)

超音波検査で偶然発見された高密度の内頸静脈モヤエコーの2例

Two cases of incidentally detected dense Moya-echo (Spontaneous echo-contrast) in the internal jugular vein

佐次田 保徳1, 上田 真2, 高良 博明3, 福里 吉充2, 松本 廣嗣4

Sashida YASUNORI1, Ueda MAKOTO2, Hiroaki TAKARA3, Yoshimitu HUKUZATO2, Hirotsugu MATSUMOTO4

1沖縄県立北部病院形成外科, 2沖縄県立中部病院外科, 3沖縄県立中部病院放射線科, 4沖縄県立八重山病院外科

1Department of Plastic Surgery, Okinawa Prefectural Hokubu Hospital, 2Department of Surgery, Okinawa Prefectural Chubu Hospital, 3Department of Radiology, Okinawa Prefectural Chubu Hospital, 4Department of Surgery, Okinawa Prefectural Yaeyama Hospital

キーワード :

【目的】
モヤモヤエコーは,赤血球の凝集を反映する画像で,血栓形成傾向を示唆するとされ,左房,心筋梗塞の心室内,拡張型心筋症の左室内,肺性心などの右室内,さらには大動脈瘤内などにも検出される.その存在は脳血管障害のリスクとして,取りざたされる一方で健常人にも認められる.今回我々は,帯状の高エコーな成分を伴い,ほぼ静脈断面全てに認められる密な内頸静脈のモヤモヤエコーを経験し,その取扱いに苦慮したので報告する.
【症例 1】
38才女性.既往にSLEあり,甲状腺腫大の精査にて超音波を施行,左内頸静脈にモヤモヤエコーを指摘された.内頸静脈弁の遠位で,高エコー,低エコーの成分が不均一に混在するモヤモヤエコーがto-and-froの状態で浮遊していた.甲状腺は嚢胞性腺腫であった.CT検査では血栓を指摘されなかった.無症状であった.ワーファリンを約3ヵ月使用したが,ループス腎炎を併発,生検を受けるにあたり,内服を中止した.
【症例 2】
71才女性.甲状腺機能亢進症にて甲状腺亜全摘術を受けている.定期フォローの甲状腺超音波検査にて左内頸静脈にモヤモヤエコーを指摘された.無症状であった.抗凝固剤の使用を拒否,外来フォローとなった.
【考察】
最近経験したモヤモヤエコーの2例は明らかな壁在血栓を伴わず,静脈内を浮遊するように緩やかに中枢側へ流動していた.両者とも無症状で経過した.モヤモヤエコーは高密度なものは明らかに異常であり,その病的意義も明らかにされており,今回の2例は,HUNG-Yらの分類でもっとも密とされているGrade V(=dense spontaneous echo-contrast that fills the entire lumnen of internal jugular vein)であったが,患者は抗凝固療法を選択あるいは継続を希望しなかった.頸静脈のモヤモヤエコーは,エコーの分解能の向上に伴って診断率も上がっている.加療の適応とその方法についての検証の必要性を感じた.
【参考文献】
Hsu HY, Ultrasound Med Biol. 2012 Jun;38(6):926-32 Spontaneous echo contrast in internal jugular veins: a probable indicator for systemic inflammation and a prothrombotic state.