Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
血管:血管

(S618)

冠動脈疾患における血管内皮機能測定:計測法に基づく相違

Measurement of Endothelial Function in Coronary Artery Diseases: Difference between Ultrasound Systems

米田 修平1, 松村 誠1, 岡原 千鶴2, 数野 直美2, 山本 哲也2, 三村 優子2, 小宮山 伸之1, 松本 万夫1, 西村 重敬1

Shuhei YONEDA1, Makoto MATSUMURA1, Chizuru OKAHARA2, Naomi KAZUNO2, Tetsuya YAMAMOTO2, Yuko MIMURA2, Nobuyuki KOMIYAMA1, Kazuo MATSUMOTO1, Shigeyuki NISHIMURA1

1埼玉医科大学国際医療センター心臓内科, 2埼玉医科大学国際医療センター中央検査部生理機能検査室

1Department of Cardiovascular Medicine, Saitama International Medical Center, 2Clinical Laboratory, Saitama International Medical Center

キーワード :

【背景・目的】
血流依存性血管拡張(FMD: flow-mediated vasodilation)は,超音波を用いた血管内皮機能を評価する方法である.従来,測定には熟練が必要とされてきたが,最近では半自動的に測定可能な装置の普及に伴い,より簡便な測定が可能となった.しかし,装置間や測定方法における測定値の相違に関して十分に検討されていない.
【対象・方法】
対象は,冠動脈疾患(CAD: coronary artery disease)を有する15例(CAD群)と有さない23例(非CAD群)の計38例(男性24例,52±17歳).使用超音波診断装置はProSound α10(装置A)とUNEXEF18G(装置B).同一の被験者に対し,2機種の探触子を右上腕に直列に並べて同時に測定した.血管径の計測を装置Aでは手動,装置Bでは自動で行った.前腕を5分間駆血し,駆血前と駆血解除後最大となる上腕動脈の血管径の変化率を%FMDとした.なお,両者の探触子間の距離は1.0cm以内とした.
【結果】
(1) 非CAD群: 装置Aの%FMDは5.4±3.4%,装置Bでは5.2±3.3%,両者の平均誤差は2.0±1.8%であった.相関係数は0.68 (p<0.01)で有意な正相関が認められた(図1).(2) CAD群: 装置Aの%FMDは4.7±3.1%,装置Bでは4.5±3.1%であった.両装置ともCAD群と非CAD群との間に有意な差を認めなかったが,CAD群における両装置間の平均誤差は2.8±1.9%で非CAD群よりも大きい傾向を示した.両装置間における%FMDの相関係数は0.40 (p=0.14)と非CAD群に比し低値を示した(図2).
【考察】
2装置間で計測値に相違が生じる要因の一つとして,装置Bは多断面で自動的に血管の直径を測定できるシステムになっているのに対して,装置Aでは探触子が単一で手動による長軸のみの観察となり,正確な直径を描出できなかった可能性がある.CAD群と非CAD群における差に関しては,動脈硬化病変に基づく影響が考えられるが,今後の検討課題である.
【結語】
FMDの計測値は使用する超音波装置や計測法によって違いがあり,CAD群においてより顕著となる傾向がみられた.