大下 真紀¹, 小林 薫², 太田 寿¹, 森田 新二¹, 藪田 智範², 福島 光浩², 廣川 満良⁴, 網野 信行³, 宮内 昭²

Maki OSHITA¹, Kaoru KOBAYASHI², Hisashi OTA¹, Shinji MORITA¹, Tomonori YABUTA², Mitsuhiro FUKUSHIMA², Mitsuyoshi HIROKAWA⁴, Nobuyuki AMINO³, Akira MIYAUCHI²

¹隈病院臨床検査科, ²隈病院外科, ³隈病院内科, ⁴隈病院病理診断科

¹Department of Clinical Laboratory, Kuma Hospital, ²Department of Surgery, Kuma Hospital, ³Department of Physiology, Kuma Hospital, ⁴Department of Diagnostic Pathology, Kuma Hospital

キーワード :

【目的】
超音波診断は甲状腺乳頭癌の患者に対する対応において最初の重要なステップである．超音波検査における頸部リンパ節転移の診断は患者の病期と外科的対処に影響を与える．したがって，超音波検査において転移リンパ節と反応性リンパ節を鑑別することが重要になる．この研究の目的は甲状腺乳頭癌の患者の転移リンパ節の超音波画像の特徴を検討することである．
【対象と方法】
2010年10月から2012年2月まで，隈病院において初回手術の甲状腺乳頭癌の患者145例を手術前に超音波検査を行い，203個の頸部リンパ節の超音波所見を検討した．リンパ節の超音波所見としては，形状，境界性状，内部エコー，嚢胞変性，高エコー，リンパ門部，リンパ門部の血流，リンパ門部以外の血流である．使用した超音波機器はTOSHIBA MEDICAL SYSTEMS社，APLIO SSA-770A，探触子PLT-805ATは5〜12MHz，PLT-1204AXは7〜14MHzである．
【結果と考察】
手術後の病理診断において，161個の転移リンパ節と42個の反応性リンパ節と判明した．転移リンパ節は形状不整形，内部不均質かつ高エコー，嚢胞変性（+），石灰沈着（+），リンパ門部（+），リンパ門部の血流（-），リンパ門部以外の血流（+）が反応性リンパ節に比較して有意に高い頻度を示した．
【結論】
転移リンパ節のこれらの超音波所見は乳頭癌の患者の実際的な治療方針の選択に有用であると考えられる．