Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
体表臓器:甲状腺・リンパ節

(S611)

当院での2年以上経過を追えた18歳以下の甲状腺超音波所見の自然経過についての検討

Evaluation about the natural history of thyroid ultrasound findings under 18-year-old patients after more than 2 year follow-up at single institute

北川 亘1, 伊藤 公一1, 杉野 公則1, 長濵 充二1, 松本 雅子2, 岩久 建志2, 吉村 弘2, 佐々木 栄司3, 天野 高志3

Wataru KITAGAWA1, Koichi ITO1, Kiminori SUGINO1, Mitsuji NAGAHAMA1, Masako MATSUMOTO2, Kenji IWAKU2, Hiroshi YOSHIMURA2, Eiji SASAKI3, Takashi AMANO3

1伊藤病院外科, 2伊藤病院内科, 3伊藤病院診療技術部

1Department of Surgery, Ito Hospital, 2Department of Internal medicine, Ito Hospital, 3Department of Medical Technology, Ito Hospital

キーワード :

【目的】
東電福島第一原発事故以降,小児甲状腺癌の発生が懸念されている.現時点での甲状腺の状態把握のため,震災時18歳以下の福島県民を対象に超音波検査による福島県県民健康管理調査が始まっている.今回当院で2年以上経過を追えた初診時18歳以下の症例の超音波検査所見を福島県県民健康管理調査の基準に準じ判定し,A,B判定の自然経過について検討した.
【対象と方法】
対象は2006年1月から2008年12月までに初診時18歳以下で超音波検査を施行し,2年以上経過を追えた388例で,内訳は男性 44例,女性344例.判定は福島県県民健康管理調査に準じ判定した.平均年齢は14.7才(4〜18),平均観察期間は36.4か月(24.5〜68.6)で,初診時および経過観察中,甲状腺疾患の加療をした対象は除外した.
【結果】
初診時の超音波判定はA1判定(異常を認められない)が191例49.2%,A2判定(5.0mm以下の結節や20.0mm以下の嚢胞)が152例39.2%,B判定(5.1mm以上の結節や20.1mm以上の嚢胞)が45例11.6%であった.初診時診断は腺腫様甲状腺腫196例,びまん性甲状腺腫150例,正常40例,その他2例であった.初診時,最大腫瘍が結節に分類されたものが51例13.1%,嚢胞に分類されたものが146例37.6%で,その腫瘍径の中央値はそれぞれ13.2mm(3.5〜59.4),4.0mm(1〜45)であった.2年以上経過後,超音波判定が変更になったものはA1判定で52例(27.2%),A2判定で32例(21.1%),B判定で6例(13.3%)であった.その内訳は初診時A1判定では,A2判定に変更になったもの40例20.9%,B判定に変更になったもの12例6.3%であった.初診時A2判定では,A1判定に変更なったもの24例15.8%,B判定に変更になったもの8例5.3%であった.初診時B判定ではA1判定に変更になったもの1例2.2%,A2判定に変更になったもの4例8.9%,C判定に変更になったもの1例2.2%であった.C判定だった1例は乳頭癌を発症した.
【まとめ】
当院受診患者は福島県県民健康管理調査と違い母集団にバイアスがかかっているため比較はできないが,A1判定で72.8%,A2判定で78.9%,B判定で86.7%が2年以上経過後も判定は変わらなかった.またB判定の経過観察中,1例に乳頭癌が発症した.今後も長期経過観察を行い,経年変化をfollow upする必要があると考えられる.