Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
腎泌尿器:腎臓・後腹膜

(S604)

腎血管抵抗測定は血液浄化導入を予測できるか?

Can resistive index in renal Doppler sonography predict thine duction of continuous hemodiafiltartion?

坪 敏仁

Toshihito TSUBO

弘前大学医学部附属病院集中治療部

Intensive Care Unit, Hirosaki university hospital

キーワード :

【目的】
近年,超音波による腎血管抵抗測定が種々の病態を表すとされている.今回,集中治療部に入室した患者に腎葉間動脈の血管抵抗測定をおこない,血液浄化施行を予測できるか検討した.
【方法】
集中治療部に入室した成人50名を対象とした.入室1日目に両側腎皮質の葉間動脈血流を測定し,2日以内の血液浄化導入の有無を検討した.測定機器はフィリプス社製SONOS7500を用い断層法,カラーパルスドップラー法を用いて測定した.測定項目は葉間動脈のresistive index(RI)およびpulsatile index,平均尿量,血清K濃度,BUN濃度を測定した.対象患者を血液浄化を必要とした群と不要群に分け,比較検討した.
【結果】
患者デモグラフィは開心術後10名,大血管手術患者8名,開腹術後患者7名,心不全患者7名などであった.平均年齢は60±6歳,体重は65±7kg,男性36名,女性14名であった.血液浄化必要患者ではRIは9.0±0.7で不要群 7.0±0.8に比し有意に上昇していた(p<0.05).また血漿クレアチニンおよびBUNが血液浄化必要群では有意に上昇していた.RIと血漿クレアチニンおよびBUN濃度は有意な相関を認めた(p<0.05).施行血液浄化は大部分はcontinuous hemodiafiltration(CHDF)であり,少数でhemodialysisを行った.
【症例】
KK 38才 70kg 弓部置換術後現病歴:腰痛で発症.大動脈解離の診断で弓部置換術をうけた.ICUでの経過:超音波で右腎RIは0.48 左腎RIは1.0であった.のちに左腎梗塞が判明した.腎血流に左右差があることから対処に苦慮した.やはり尿量は少なく血漿BUN およびCreが上昇した.マニトール,ラシックスを投与したが,効果がなく,CHDFを開始した.二日後α-hANPを使用し,右腎RIは0.21と改善し,尿量も増加し,CHDFから離脱できた.RIの測定は腎の病態の変化を見るうえで有用であった.
【結論】
近年,腎皮質の葉間動脈血流が,尿病,肝腎障害,血栓などで変化することが知られている.RI変化の機序として,Murphy MEら1)は尿管を閉塞させ,腎間質の圧の上昇が,腎血流拡張期圧の低下をもたらし,RI値を高めるとしている.Le Dorzeら2)はcritical care領域で葉間動脈のRI測定はAKIの予測に有用としている.今回の我々の結果から集中治療領域で葉間動脈のRI測定は血液浄化施行を予測できた.
【参考文献】
1)Murphy ME, et al. J Ultrasound Med 2000;19:303-14
2)Le Dorze M, et al. Shock 2012;37:360-5