Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
腎泌尿器:その他

(S600)

腹腔鏡下尿管切石術における術中超音波断層法の有用性について

The Value of Intraoperative Ultrasound During Laparoscopic Ureterolithotomy

横山 裕1, 田丸 俊三2, 石田 浩三1

Hiroshi YOKOYAMA1, Shunzo TAMARU2, Kozo ISHIDA1

1田川市立病院泌尿器科, 2薬院ひ尿器科病院泌尿器科

1Department of Urology, Tagawa Municipal Hospital, 2Department of Urology, Yakuin Urogenital Hospital

キーワード :

【目的】
尿管結石に対する積極的治療は体外衝撃波結石破砕術(ESWL)や経尿道的尿管結石砕石術(TUL)が第一選択となるが,嵌頓結石の場合はESWLに抵抗性であり,TULも困難な症例を経験することがある.そのような症例には尿管切石術が選択肢の一つになると思われるが,最近では,従来の開放手術ではなく,腹腔鏡手術が施行されるようになっている.腹腔鏡下手術は侵襲が少なく,術後の回復が早いため,泌尿器科領域の疾患に幅広く応用されてきている.しかし,腹腔鏡下手術は,特に経験の少ない術者においては,術野のオリエンテーションに手間取る事があり,不要な剥離操作のため,手術時間が長くなったり,合併症のリスクが高くなることが懸念される.その欠点を補うために,われわれの施設では,腹腔鏡下尿管切石術(LUL)において超音波断層法(US)を積極的に利用してきた.今回,われわれはLULにおける術中USの有用性について検討したので報告する.
【対象と方法】
対象は田川市立病院泌尿器科で腹腔鏡下尿管切石術を施行した5例である.全例で術中USを施行し,US装置はアロカSSD-1600,探触子は7.5MHz腹腔鏡用リニア型UST-5536-7.5を使用した.探触子を10mmのトロカーから挿入し,内視鏡で探触子の位置を確認しながら,術野を観察した.
【結果】
5例の臨床的背景を表1に示す.患側は右2例,左3例で,部位は上部尿管3例,中部尿管2例であった.後腹膜的到達法が4例で,左副腎腫瘍を同時に摘出した1例のみ経腹膜的到達法で施行した.全例で合併症を認めず,術中USを施行することにより,尿管結石の同定や腎や周囲血管との位置関係の把握が迅速に行え,結石摘出後に残存結石の有無も確認できた.
【結論】
LULに術中USを併用する事により,標的部位と周囲臓器との位置関係を迅速に把握できた.その結果,無駄な操作を最小限にして手術を進めることができ,手術時間の短縮や合併症の予防にもつながると考える.特に,経験の少ない術者にとってその有用性は高いものと思われる.