Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:横隔膜ヘルニア・他

(S596)

当院における鎖肛の胎児診断の現状

Prenatal diagnosis of impeforate anus in a tertiary center

加地 剛1, 中山 聡一朗1, 中川 竜二1, 西條 隆彦1, 前田 和寿1, 苛原 稔1, 石橋 広樹2

Takashi KAJI1, Soichiro NAKAYAMA1, Ryuji NAKAGAWA1, Takahiko SAIJO1, Kazuhisa MAEDA1, Minoru IRAHARA1, Hiroki ISHIBASHI2

1徳島大学病院周産母子センター, 2徳島大学病院小児外科・小児内視鏡外科

1Obstetrics and Gynecology, Tokushima University Hospital, 2Pediatric Surgery and Pediatric Endoscopic Surgery, Tokushima University Hospital

キーワード :

鎖肛は1500〜5000出生に1人と比較的多く出生後早期に治療が必要な疾患である.胎児期に診断されることは稀で,出生後に診断・新生児搬送となる場合が多い.従来胎児超音波検査では直腸内部の石灰化像や腸管拡張などの間接所見から鎖肛が疑われていたが,最近肛門自身を確認することで胎児診断が可能との報告がされている.今回当院における鎖肛の胎児診断の現状について検討した.
【方法】
H20年からH24 11月までに当院で出生した鎖肛11例について後方視的に行った.鎖肛の内訳は高位鎖肛が4例,中間位が3例,低位が3例,不明1例であった.一方合併異常を認めたものが8例で鎖肛単独が3例であった.合併異常の内訳は食道閉鎖4例,総排泄腔遺残2例,心奇形1例,尿道下裂1例であった.胎児期に鎖肛が強く疑われていた症例は2例のみであった.1例は総排泄腔遺残の症例で拡張した直腸内に石灰化を認めた症例で,もう1例は肛門が描出されなかった症例であった.
【結論】
合併異常を伴う鎖肛のハイリスク症例においても鎖肛の胎児診断はほとんどされていなかった.従来からある腸管の拡張や石灰化などの間接所見で鎖肛が強く疑うことは難しい.1例だけの経験であるが,肛門を直接観察することは鎖肛の胎児診断に有効と考えられる.