英文誌(2004-)
一般口演
産婦人科:横隔膜ヘルニア・他
(S595)
先天性左横隔膜ヘルニアにおけるo/e LHRおよび胃泡位置とその予後の検討
A study for prenatal ultrasound finding of o/e LHR and stomach position in left congenital diaphragmatic hernia
住江 正大, 三輪 照未, 杉林 里佳, 梅原 永能, 渡邉 典芳, 和田 誠司, 左合 治彦
Masahiro SUMIE, Terumi MIWA, Rika SUGIBAYASHI, Nagayoshi UMEHARA, Noriyoshi WATANABE, Seiji WADA, Haruhiko SAGO
国立成育医療研究センター周産期センター
Perinatal Care Center, National Center for Child Health and Development
キーワード :
【目的】
先天性横隔膜ヘルニア(CDH)に対して,欧州では胎児治療が試みられていえる.その際の鍵となるのは胎児の肺の評価である.欧米では肺の評価としてobserved / expected lung area to head circumference ratio (o/e LHR)が用いられているが,本邦においてはあまり報告がなく,胃泡位置分類が用いられている.今回我々はCDHの児のo/e LHRと生後予後ならびに胃泡位置との関連を後方視的に検討した.
【方法】
2002年3月から2012年3月に当センターで出生前診断され周産期管理を行ったCDH 73例のうち,右側のCDH 8例と,合併奇形もしくは染色体異常を有する7例を除いた58例の左CDH症例に関して,出生前超音波所見とその予後について後方視的検討を行った.o/e LHRの計測は原則として当科初診時の胎児超音波画像においてarea法を用いて行った.o/e LHRの重症度はsevere (<25%),moderate (26-45%),mild(>45%)とした.また胃泡位置はKitanoらの分類により胃泡が腹腔内:G0,左胸腔内:G1,半分以上左胸腔内:G2,半分以上右胸腔内:G3とした.またmoderate群は,26-35%と36-45%のliver up群,36-45%のliver down群とに分けて検討した.
【結果】
58例中,severe群は7例,moderate 群32例(26-35% 19例,36-45%のliver up 13例,36-45%のliver down 10例),mild群が8例あった.生存率は それぞれ28.6%,63.2%,69.2%,100%,100%であった.またo/e LHR severe群7例中5例が胃泡位置G3であり,またmoderate群の26-36%の19例中5例,36-45%のliver up症例13例中5例がG3であった.
【結語】
o/e LHR による肺評価は児の生命予後とよく相関し,また胃泡位置分類と関連を示した.o/e LHR severe群の予後は極めて不良で,胎児治療を考慮してもよいと考えられた.