Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:その他

(S594)

骨盤臓器脱症例の経陰唇超音波検査による前腟区画の機能的評価

Functional evaluation of the anterior vaginal compartment in pelvic organ prolapse by translabial ultrasonography

中田 真木, 中山 裕敏, 小島 俊行

Maki NAKATA, Hirotoshi NAKAYAMA, Toshiyuki KOJIMA

三井記念病院産婦人科

Department of Obsttrics and Gynecology, Mitsui Memorial Hospital

キーワード :

【目的】
経陰唇超音波検査による前腟区画の所見から下部尿路機能の推定を行い,外科治療に役立てる.
【対象と方法】
2012年4月以降に自施設で骨盤臓器脱の手術を実施した症例を対象とし,テンプレートによるカルテ記載と超音波画像データを後方視的に調査した.手術前後の下部尿路症状と,経陰唇超音波検査,尿流動態検査の結果を照合し,蓄尿症状や排尿症状などの下部尿路症状ある症例に認められる前腟区画の所見,外科処置のもたらす形態的変化と下部尿路機能への影響について検討を加えた.
【結論】
経陰唇超音波検査による前腟区画の所見には,尿道の角度や位置の変化,流出路の変形,尿道壁の石灰化,膀胱の形態的変化や厚さの増大,膀胱内部の反射などのものがあり,超音波所見の一部は機能的な解釈と意味づけの余地がある(表).いきみやすぼめの動作を負荷することで,程度の低い支持障害や膀胱・尿道の変形を検出することができる.ストレスを負荷しての経陰唇超音波検査動画観察は,骨盤底の支持能と下部尿路の形態の総合的な評価を与える.全般的な骨盤底弛緩によりマスクされている腹圧性尿失禁についても,流出路の形態的な特徴により術後尿失禁のリスクを見積ることができる場合もある.流出路と膀胱底の相対的な位置関係から,前腟区画の支持障害や下部尿路の変形があれば,女性でも排出障害は容易に起こる(図).下部尿路刺激症状と頻尿の傾向は骨盤臓器脱に広く見出されるが,これら症例は前腟区画の特定の所見を有していなかった.