Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:胎児心臓・血管Ⅱ

(S590)

大動脈弓離断の出生前超音波所見に関する後方視的検討

Interrupted aortic arch: case series with review of the literature focusing on in utero sonographic features

池ノ上 学, 松本 直, 春日 義史, 門平 育子, 峰岸 一宏, 宮越 敬, 吉村 泰典

Satoru IKENOUE, Tadashi MATSUMOTO, Yoshifumi KASUGA, Ikuko KADOHIRA, Kazuhiro MINEGISHI, Kei MIYAKOSHI, Yasunori YOSHIMURA

慶應義塾大学医学部産婦人科

Department of Obstetrics and Gynecology, Keio University School of Medicine

キーワード :

【目的】
胎児心エコーの普及および胎児心臓超音波像に関する知見の集積により,先天性心疾患の胎内診断例は増加傾向にある.先天性心疾患のうち大動脈弓離断(IAA)や大動脈縮窄(CoA)などの動脈管依存性チアノーゼ疾患は出生後の円滑な周産期管理を要し,正確な胎内診断が児の予後改善に寄与するとされる.一方,IAAやCoAの胎内検出率は約40%とされ,胎内における検出は課題の一つである.今回,我々は当院で周産期管理を行ったIAA症例の出生前胎児超音波所見について後方視的に検討を行った.
【方法】
当院胎児外来にて1997年以降に周産期管理を行った出生前IAA疑い症例(N=7)を対象とし,出生後診断名,胎内診断時期および所見,病型および心構築異常の合併の有無を検討した.なお,対象のうち1例は妊娠初期から当院管理例,6例は他院からの紹介例であった.
【結果】
全例計画分娩を行い,出生後ただちに小児循環器専門医により心臓超音波検査が施行された.超音波検査により6例はIAA(type A:2例;type B:4 例),1 例はCoAと判明した(表参照).胎内における診断時期は妊娠28週(平均値)であり,IAA 6例中2例は四腔断面異常(心室中隔欠損:1例;単心室:1例)を,残り4例はthree-vessel viewおよび大動脈弓・動脈管弓の矢状断面異常を契機に検出された.また,胎向の影響を受け,6例中3例では大動脈からの頸部分枝,特に左鎖骨下動脈の同定が困難であり,胎内にて離断部位を判定できなかった.なお,心構築異常として,房室中隔欠損,単心室,心室中隔欠損,総動脈幹症,大動脈肺動脈窓の合併を認めた.
【結論】
自験例においてIAAは主に妊娠後期に検出された.また,四腔断面異常を契機とした検出例は2症例のみであったことから,IAAの胎内診断にはthree-vessel viewや矢状断面像を含めた詳細な観察が重要と考えられた.