Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:妊娠・分娩

(S586)

妊娠11~13週の胎児頭殿長と子宮胎盤還流および胎盤発育の関係

Relationship crown-rump length at 11 to 13 weeks and utero-placental circulation or placental growth

仲村 将光, 長谷川 潤一, 濱田 尚子, 三科 美幸, 大瀬 寛子, 松岡 隆, 市塚 清健, 岡井 崇

Masamitsu NAKAMURA, Junichi HASEGAWA, Shouko HAMADA, Miyuki MISHINA, Hiroko OOSE, Ryu MATSUOKA, Kiyotake ICHIZUKA, Takashi OKAI

昭和大学産婦人科学教室

Obstetrics and Gynecology, Showa University

キーワード :

【目的】
妊娠初期の胎児頭殿長(CRL)が週数に比べて小さい症例では,そうでない症例に比べて予後不良であるとの報告がある.子宮胎盤還流が影響する胎児発育不全では,子宮動脈血管抵抗が上昇し,絨毛体積の減少を認めると考えられる.今回,妊娠11〜13週のCRLが小さい症例において,そうでない症例と比較して子宮動脈血管抵抗および絨毛体積などのパラメーターの特徴が異なるのではないか,との仮説を置き研究をおこなった.
【方法】
2011年2月〜2012年3月に当院の妊娠初期外来を受診し,その後分娩した単胎症例を対象とした.妊娠初期に胎児形態異常のため他院より紹介となった症例は除外した.分娩予定日は,問診により推定された受胎日,または妊娠8〜10週の胎児頭殿長(CRL)により決定した.妊娠11〜13週にFatal Medicine Foundation(FMF)の方法に従ってCRLを測定し,妊娠日数で標準化したSD値を求め,-1.0SD以下のS-CRL群,それ以外の症例をN-CRL群とした.両群における妊娠11週以降の流産,Light-for-date (LFD)児の頻度,および妊娠11〜13週の子宮動脈Pulsatility Index(Ut-PI),絨毛体積(PV),分娩時の胎盤重量(PW)についてSD値を求め,比較検討を行った.なお,本研究は当院倫理委員会の承認を得ている.
【成績】
対象は1044例で,S-CRL群が73例,N-CRL群が971例であった.両群における妊娠11週以降の流産,LFDの頻度[S-CRL(n),N-CRL(n)(p-value)]はそれぞれ,[6.8%(5),1.4% (14)(p=0.008)],[19.1%(13),3.7%(35) (p<0.001)]であった.両群のUt-PI,PV,およびPWのSD値は,[0.2±0.9, -0.1±1.0 (p=0.016)],[-0.8±0.6, 0.0±0.8 (p<0.001)],[-0.4±0.9, 0.0±1.0 (p=0.012)]であった.
【結論】
妊娠11〜13週のCRLが小さい症例では,そうでない症例に比較して,流産やLFDの頻度が高く,また,同時期の子宮動脈血管抵抗が高く,絨毛体積が小さく,分娩時の胎盤重量が軽くなることが明らかになった.このことは,妊娠11〜13週の時点でCRLが小さい原因が,胎盤発育に対しての子宮内環境が不良であることを示唆すると考えられた.