Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
産婦人科:異常妊娠・胎児発育不全

(S582)

将来胎児発育不全に陥る症例検出を目的とした超音波胎盤計測法と発症予知への臨床応用

Can ultrasonographic measurement of the major axis of the placenta at 20-21 weeks of , gestation predict fetal growth restriction ?

早田 桂, 延本 悦子, 沖本 直輝, 井上 誠司, 瀬川 友功, 増山 寿, 平松 祐司

Kei HAYATA, Etsuko NOBUMOTO, Naoki OKIMOTO, Seiji INOUE, Tomonori SEGAWA, Hisasi MASUYAMA, Yuji HIRAMATSU

岡山大学病院産科婦人科

Obstetrics & Gynecology, Okayama University Hospital

キーワード :

【目的】
胎児発育不全症例は胎盤も小さいとの報告がある.妊娠中期胎児超音波検査時の胎盤計測より,将来胎児発育不全に陥る症例は検出可能か,胎盤計測は臨床応用に有用であるか否かを検討した.
【方法】
妊娠20-21週時に超音波 Bモード画像より胎盤長径と推定体重を計測し,検査主旨の同意を得た471症例を対象に前方視的研究を行った.胎盤計測は,胎盤最長径が計測可能な断面を描出し,絨毛膜板と基底板の中間の直径を計測値とした.出生体重-1.5SD未満のLFD(light-for-dates)群と非LFD群に分類し,2群間の比較より胎盤長径計測の有用性を検討した.また,LFD発症予知には胎盤長径と推定体重のいずれが優れているかを検討するため,ROC曲線を作成し,スクリーニングに最適なcut-off値を求めた.
【成績】
LFD29例と非LFD442例の平均胎盤長径は,それぞれ10.4±0.6cmと12.4±1.0cmで統計学的有意差を認め(P<0.001),胎盤長径計測はその後のLFD発症予知因子となり得た.他方,LFD29例の妊娠20-21週時点の推定体重は3例のみが-1.5SD未満であり,推定体重より将来LFDに陥る症例予知は困難であった.ROC曲線を用い,妊娠20-21週の時点で将来LFDとなる症例検出の予知精度比較では,推定体重(AUC=0.807)より胎盤長径(AUC=0.954)のほうが優れたスクリーニング検査であることが示された.胎盤長径のcut-off値として,ROC曲線の最も左上に位置する値は11.2cm(感度96.6%,特異度88.0%,陽性的中率34.6%,陰性的中率99.7%)であり,相対危険度134.8(95%信頼区間18.6-976.7),陽性尤度比8.05であった.またLFD群ではPIH3/29例(10.3%),NRFS4/29例(13.7%)に認め,非LFD群でのPIH6/442例(1.3%),NRFS 11/442例(2.4%)と比較し,有意に高値であった(P<0.001).
【結論】
将来LFDとなる症例検出を目的とした妊娠20-21週時の胎盤長径計測は,臨床応用に有用であることが示唆された.