脇 英彦¹, 伊東 宏祐², 平 省三³, 飯田 洋也⁴, 生田 真一⁴, 相原 司⁴, 岸 清彦⁵, 山中 若樹⁴

Hidehiko WAKI¹, Kohsuke ITO², Syohzou TAIRA³, Hiroya IIDA⁴, Shinichi IKUTA⁴, Tsukasa AIHARA⁴, Kiyohiko KISHI⁵, Naoki YAMANAKA⁴

¹明和病院臨床検査科・超音波センター, ²明和病院臨床検査科, ³明和病院産婦人科・超音波センター, ⁴明和病院外科, ⁵明和病院内科

¹Department of Medical Technology, Meiwa Hospital, ²Department of Clinical Laboratory, Meiwa Hospital, ³Department of Obstetrics and Gynecology, Meiwa Hospital, ⁴Department of Surgery, Meiwa Hospital, ⁵Department of Internal medicine, Meiwa Hospital

キーワード :

【目的】
Sonazoid投与後の肝動脈・門脈・肝静脈各々の到達時間と肝線維化ならびに門脈圧との関係を肝腫瘍患者で比較検討した．
【対象・方法】
対象は2009年7月から2012年10月までの期間に造影超音波検査で到達時間を計測し，術中門脈圧の測定ができた肝切除例16例である．その内訳はC型慢性疾患合併肝がん12例，アルコール性肝炎合併肝がん2例，転移性肝がん2例で，全例肝障害度Aであった．それらの内，C型慢性疾患合併12例ではReal-time Tissue Elastography（RTE）より求めたLiver Fibrosis Index（LF index）を測定した．Sonazoidは推奨容量の1/2量を投与した．検討1:門脈圧と肝動脈・門脈・肝静脈到達時間との相関を検討．検討2：C型肝がん12例では門脈圧とLF indexの相関につき検討．
【結果】
検討1：肝切除16例の平均門脈圧は18.8cmH2Oであった．到達時間（秒）と門脈圧の相関は，肝動脈（r＝−0.79），門脈（r＝−0.71），肝静脈（r＝−0.80）で，門脈圧の上昇に伴い有意に到達時間の短縮を認めた（P＜0.01）．平均到達時間（秒）と新犬山分類F stageの相関は，F2では（肝動脈：門脈：肝静脈　17.0：20.6：34.3），F3では（肝動脈：門脈：肝静脈　16.0：20.5：34.0），F4では（肝動脈：門脈：肝静脈　12.6：19.7：30.1）で，F4はF2に比べ到達時間の短縮傾向がみられた．検討2：門脈圧とLFIの相関は，r＝−0.81，（P＜0.001）と門脈圧の上昇に伴い，LFIは有意に高値となった．
【結論】
造影超音波検査による肝動脈・門脈・肝静脈到達時間の計測とReal-time Tissue Elastographyより求めたLiver Fibrosis Indexは，低侵襲的に肝線維化と門脈圧上昇の予測に有用と考えられた．