Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:びまん性肝疾患Ⅱ

(S569)

7.5MHz探触子によるC型慢性肝炎の肝表面像と肝組織との相関

Correlation between the US liver surface imagine with 7.5MHz probe and liver pathology of chronic hepatitis C

長田 成彦

Naruhiko NAGATA

東海大学大磯病院消化器内科

Internal Medicine, Hepatology and Gastroenterology, Tokai University School of Medicine

キーワード :

【目的】
慢性肝疾患において肝表面の微細な性状は,疾患の進行度の指標として重要であるが,腹腔鏡による肝表面の観察ならびに肝生検組織診は,反復して施行することは困難である.一方,超音波検査は繰り返しできる非侵襲的検査として,びまん性肝疾患の診断,経過観察に有用である.我々は,7.5MHz探触子を用いた超音波検査によって肝臓表面を観察し,慢性肝炎から肝硬変にいたる慢性肝疾患の診断における有用性を検討した.
【方法】
超音波による肝表面の分類は,7.5MHzで平滑型,非連続不整型,連続不整型,結節型とした.
【成績】
慢性肝疾患77例の検討で,肝表面凹凸の評価の難しい300番地の斑紋肝では,不整像の描出は,3.75MHz探触子39%,7.5MHz探触子78%であった.また,超音波による肝表面像と肝組織所見との比較では,非連続不整型と分類したもののうち活動性肝炎は,68%,連続不整型では肝硬変が60%,結節型では肝硬変が67%を占めた.すなわち,肝表面の不整像の進行と肝組織像の進行度は一致するという結論を得た.さらに,慢性C型肝炎に焦点をしぼり,新犬山分類による肝組織像,IFN治療も含めて検討した.対象は,慢性C型肝炎68例とC型肝硬変9例である.平滑型4例,非連続不整33例,連続不整47例,結節型1例であった.この肝表面分類と肝組織の線維化の程度(fibrosis)の比較では,F0, F1で,平滑型4例,非連続不整23例であった.F2, F3, F4では,非連続不整10例,連続不整4例,結節1例であった.すなわち,F2以上で平滑型を示すものは無かった.また,連続不整以上では,組織はF2以上であった.血液の線維化マーカーでも同様に,4型コラーゲン4Sが6.0以上はすべて連続不整型以上であった.次にIFN治療効果と肝表面の分類の対比では,IFN治療後の症例で,IFN CR 平滑型2例,非連続不整3例,連続不整2例.IFN PR 1例,2例,2例.IFN NR 1例,2例,0例であった.
【結論】
肝表面分類とIFN治療効果に差を認めなかった.肝組織像は,短期的にはIFN治療効果に影響を及ぼさないと考えられた.これにFIB4との対比も含めて検討したい.