Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:人間ドック・その他

(S568)

消化器外科術後管理における携帯超音波診断装置の有用性

Pocket sized ultrasound for efficient patient care after gastrointestinal and hepatobiliarypancreatic surgery

古泉 友丈, 村上 雅彦, 青木 武士, 榎並 延太, 藤森 聡, 三田村 圭太郎, 山田 宏輔, 加藤 貴史, 渡辺 誠, 大塚 耕司

Tomotake KOIZUMI, Masahiko MURAKAMI, Takeshi AOKI, Yuta ENAMI, Akira FUJIMORI, Keitaro MITAMURA, Kosuke YAMADA, Takashi KATO, Makoto WATANABE, Koji OTSUKA

昭和大学消化器・一般外科

Department of Gastroenterological Surgery, Showa University

キーワード :

【背景】
超音波診断装置は,近年のコンピューター技術の進歩に伴い多種多様な機能が搭載され多角的な超音波画像診断能の向上に重点が置かれたハイエンド型装置と,基本性能のみを残し簡略・小型化を目的とした携帯型装置の二極の開発が進められている.教室では手術室・集中治療室にハイエンド装置を,一般病棟である消化器病センターに携帯装置と従来の超音波装置を配置している.今回消化器外科周術期管理における携帯型超音波装置の有用性を検討したので報告する.
【方法】
教室では手術室・集中治療室にハイエンド装置であるLOGIQ E9 (GE Healthcare) を,一般病棟である消化器病センターに携帯超音波装置であるV Scan(GE Healthcare)を配置している.手術室では術中LOGIQ E9のVolume Navigation機能を用いて手術支援を行い,また集中治療室では各病室の十分に確保されたスペースでLOGIQ E9を用いて術後腹腔内の詳細な評価を行う.それに対し,急性期を離脱し一般病棟に帰棟した術後患者評価にはV Scanを使用している.対象は2012年7月〜12月に手術を施行した肝胆膵・下部消化管手術症例150例のうちV scanにて評価した50例.毎日の回診時にV Scanを携帯し,バイタルサイン・理学的所見に異常を認めた症例に対しV Scanで胸・腹腔内観察を行い,限られたベッドサイドスペースにおいて同定された理学的所見を超音波画像評価とリアルタイムに照合評価した.評価項目として胸水・無気肺,腹腔内膿瘍・腹腔内貯留液,術後出血,水腎症・膀胱内尿貯留,腸管拡張・腸管蠕動低下,胆嚢炎,術後出血等の有無を観察し,肝胆膵外科領域では肝・膵離断面の貯留液,胆管拡張,吻合再建部位周囲の貯留液の有無,また数値化はできないものの肝内脈管血流評価も行った.
【結果】
胸水・無気肺を5例,腹腔内膿瘍を1例,肝離断面貯留液を2例,術後腸管機能低下に伴う腸管拡張を3例に認め,いずれも熱源検索として同時に施行したCT所見と同一の画像所見が観察された.胸腔,腹腔内貯留液・膿瘍に対しては,V scanを用いて安全に穿刺ドレナージを行うことができた.
【結語】
バイタルサイン・血液検査所見・理学的所見の異常に対し,リアルタイムにV Scanを行い総合的に評価することで,合併症の早期診断・早期治療開始が可能であった.携帯超音波装置は,その簡便さ故,消化器外科手術後症例の経時的変化を追跡することは容易であり,適切な術後管理を行う際の必須なツールと考えられた.