Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:人間ドック・その他

(S567)

腹部超音波ルーチン検査の有用性 〜腹部内臓動脈瘤〜

Usefulness of routine abdominal ultrasound examination〜Abdominal visceral aneurysm〜

高木 理光1, 市原 幸代1, 大平 栄里子1, 藤本 正夫2, 橋本 英久3

Masamitsu TAKAGI1, Sachiyo ICHIHARA1, Eriko OOHIRA1, Masao FUJIMOTO2, Hidehisa HASHIMOTO3

1JA岐阜厚生連東濃厚生病院放射線科, 2JA岐阜厚生連東濃厚生病院内科, 3JA岐阜厚生連西美濃厚生病院放射線科

1Radiology department, Tohno Welfare Hospital Kouseiren Gifu, 2Internal medicine, Tohno Welfare Hospital Kouseiren Gifu, 3Radiology department, Nishimino Welfare Hospital Kouseiren Gifu

キーワード :

【はじめに】
腹部内臓動脈瘤は比較的稀な疾患であるが,破裂した際には死に至ることも多い極めて重篤な疾患である.一方,自覚症状がほとんど無いため破裂前の発見と確実な診断が必要となる.今回我々は,腹部超音波ルーチン検査において発見および診断し得た腹部内臓動脈瘤の症例を経験したので報告する.
【症例】
症例1:44歳男性.近医にて高血圧,高脂血症の治療中.検診にて肝機能異常を指摘され精査目的にて当院を紹介受診.腹部超音波検査にて肝左葉背側に嚢胞性病変を認め,周囲血管との連続性,ドプラ所見より動脈瘤を疑った.精査目的にて腹部造影CT,腹部血管造影検査を経て右胃動脈瘤と確認されコイルによる塞栓術が施行された.症例2:51歳女性.歩行時に増強する右季肋部痛および右側腹部痛が2週間前から出現し当院へ紹介受診.腹部単純CTにて右腎近傍に腫瘤像を認めた.腹部超音波検査にて同部位に拍動する嚢胞性病変を認め,ドプラ所見より右腎動脈瘤を疑った.腹部造影CT動脈相にて同部位に強い濃染を認め,また院内倫理委員会および患者同意のもとソナゾイド造影超音波検査を施行し,瘤内へ早期より造影剤の流入を認めた.その後,腹部血管造影検査にて右腎動脈瘤と確認され,コイルによる塞栓術が施行された.症例3:55歳女性.リウマチにて治療中.肝機能障害にて腹部超音波検査を施行.右腎上極に径16mmの嚢胞性病変を認め,ドプラ所見から右腎動脈瘤を疑った.腹部造影CTを施行し右腎動脈瘤と診断され,現在経過観察中である.症例4:54歳女性.肝障害にて腹部超音波検査を施行.脾門部に径20mmの嚢胞性病変を認め,ドプラ所見より動脈瘤を疑った.現在,経過観察中である.症例5:65歳男性.単純CTにて脾門部に石灰化を伴う低エコー腫瘤像を認め,腹部超音波検査では同部位に石灰化を伴う嚢胞性病変を認めた.Bモード観察にて拍動を,さらにドプラ所見にて動脈波形が得られたため動脈瘤を疑った.腹部血管造影検査にて脾動脈瘤と診断され,コイルによる塞栓術が施行された.
【考察】
リアルタイムに拍動が観察できる点およびドプラにより血流情報を簡単に得ることができる点において自覚症状が現れにくい腹部内臓動脈瘤の発見と診断に腹部超音波検査は非常に有用であると考えられた.
【まとめ】
腹部超音波ルーチン検査時に超音波装置の特徴を生かすことで,腹部内臓動脈瘤の破裂前発見と診断が可能であった症例を報告した.