Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:人間ドック・その他

(S566)

腹部超音波がん検診基準(カテゴリー分類)の医師・技師間での相違

Difference between sonographer and radiologist at evaluation of sonographic surveillance

村松 和美1, 佐々木 知美1, 岡部 酉耕1, 松本 直樹2, 小川 眞広2

Kazumi MURAMATSU1, Tomomi SASAKI1, Yuukou OKABE1, Naoki MATSUMOTO2, Masahiro OGAWA2

1医療法人社団青鶯会鶯谷健診センター検査グループ, 2日本大学医学部消化器肝臓内科

1medical technologist group, UGUISUDANI MEDICAL CENTER, 2Division of Gastroenterology and Hepatology, Department of Medicine, Nihon University School of Medicine

キーワード :

【はじめに】
2011年に日本消化器がん検診学会より公示された腹部超音波がん検診基準は腹部超音波検査の質の向上と均質化および施設間における判定基準共通化を目的とし,将来的にはがん検診の精度管理と評価を行うことを目標としている.各臓器各々0〜5までのカテゴリー分類が定められ,医師・技師間でのスクリーニングの標準化と共通化を行える様になっている.そこで当施設の腹部超音波検査結果においてカテゴリー分類を医師・技師各々が行い若干の知見を得たので報告する.
【方法】
当施設にて人間ドック受診(2011年7月〜10月),腹部超音波検査を施行した880例について集計を行った.超音波検査士2名と腹部超音波検査歴20年の技師1名の3名が腹部超音波検査を施行した際,当施設での判定とは別にカテゴリー分類を行い,後日技師が行ったカテゴリー分類がわからない状態で超音波専門医がカテゴリー分類を行った.
【結果】
肝臓48例(5.45%),胆嚢52例(5.91%),膵臓9例(1.02%),腎臓37例(1.82%),脾臓16例(0.57%),その他5例に相違が認められた.(分類のつけ間違い含む)肝臓では充実性病変でエコーパターン(主にマージナルストロングエコー)において認識の差による相違がみられた.びまん性病変(脂肪肝)では肝腎コントラストは目立たないが,Focal spared areaがあった場合に相違が認められた.胆嚢では5mm以上のポリープにおいて,点状高エコーの認識の差による相違がみられた.また,胆嚢摘出では正常としカテゴリー1とするのか,胆嚢がない(描出できない)としカテゴリー0とするのかでの相違が認められた.膵臓では描出不良の認識による相違が認められた.腎臓では腎盂拡張において技師は腎盂拡張を認めたが充実性病変無しと判断しカテゴリー3としたものを医師はカテゴリー4と診断.描出不良などによる未確定状況をカテゴリー分類ではどう表現するかでの相違がみられた.脾臓では副脾において脾門部充実性病変としカテゴリー3とするか,正常としてカテゴリー1とするかでの相違が認められた.
【結論】
カテゴリー分類を行うことにより病変を発見した時点でどの判定基準にあてはまるのかを考える為,今まで以上に細部の観察まで注意深く行うようになり質的向上につながると考えられた.腹部超音波がん検診基準は結果を数値化(カテゴリー分類)する為判定が明瞭であるが,そのため検査担当者の腹部超音波の判定能力に依存したカテゴリー評価となるのは必至である.よって検査担当者は標準化された判定基準の熟知が必要であり,また医師・技師間におけるエコーパターン認識の標準化,共通化が重要であると考えられた.