Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:胆のうⅡ

(S565)

胆嚢病変における超音波カテゴリー分類の有用性についての検討

Usefulness of the ultrasonic category classification of gallbladder lesions

関 康1, 小来田 幸世2, 澤井 良之2, 井倉 技2, 福田 和人2, 比嘉 裕次1, 一樋 政宏1, 宇戸 朋之1, 今井 康陽2

Yasushi SEKI1, Sachiyo KOGITA2, Yoshiyuki SAWAI2, Takumi IGURA2, Kazuto FUKUDA2, Yuji HIGA1, Masahiro ICHIHI1, Tomoyuki UTO1, Yasuharu IMAI2

1市立池田病院放射線科, 2市立池田病院消化器内科

1Department Radiology, Ikeda City Hospital, 2Department, Ikeda City Hospital

キーワード :

【目的】
腹部超音波検査の肝臓,胆道,膵臓といった消化器領域の難治がん早期発見における有用性が報告されている.がん発見時の所見の記載方法が統一されていないことなどの理由からがん検診としての精度や有効性の評価が行われていない.この度,日本消化器がん検診学会超音波部会委員会よりがん検診としての精度評価を可能とするための判定基準であるカテゴリー分類が示され,胆嚢におけるカテゴリー分類の有用性について検討した.
【対象・方法】
2005年2月から2012年3月までに当院外科にて開腹胆嚢摘出術あるいは腹腔鏡下胆嚢摘出術を施行し,組織学的に診断した胆嚢良性病変53例(胆嚢ポリープ45例,papillary hyperplasia 1例,胆嚢腺腫7例)及び胆嚢癌15例を対象とし,retrospectiveに評価可能であった術前USのB mode画像を消化器内科専門医1名,放射線技師1名にて評価・検討した.患者背景は,平均年齢 63.2±13.0歳(33-88歳),男性37例,女性31例,平均腫瘍径12.1±10.2mm(2.0-64.9mm)であった.超音波装置は東芝Aplio XG,XV,Xario,GE LOGIQ 7,E9,Philips HDI5000 Sono CT,を用い,コンベックス及びリニアプローブを使用した.
【結果】
胆嚢良性病変53例において,カテゴリー2/3/4/5に分類されたのは,それぞれ11/13/28/1例であった.胆嚢癌15例において,カテゴリー2/3/4/5 に分類されたのは,それぞれ0/0/7/8例であった.胆嚢癌15例の内訳は,早期胆嚢癌は6例でカテゴリー分類はそれぞれ0/0/4/2例であり,進行胆嚢癌は9例で0/0/3/6例であった.また,早期胆嚢癌6例中3例が粘膜内癌であり,全てカテゴリー4に分類された.カテゴリー別に見ると,カテゴリー 2/3/4/5 はそれぞれ11/13/35/9例であった.カテゴリー2の11例及びカテゴリー3の13例は,全て胆嚢良性病変であった.カテゴリー4の35例は胆嚢良性病変28例,早期胆嚢癌4例,進行胆嚢癌3例であった.この28例のカテゴリー4に分類した根拠は10mm以上のものが23例,10mm以上で広基性のものが2例,10mm以上で壁肥厚を伴うものが1例,広基性のものが1例,壁肥厚のものが1例であり,良性病変の中でカテゴリー4に分類された根拠として10mm以上であることが大多数を占めていた.カテゴリー5の9例では胆嚢良性病変1例,早期胆嚢癌2例,進行胆嚢癌 6例であった.
【考察及び結語】
胆嚢癌はすべてカテゴリー4,5に分類され,またカテゴリー2,3はすべて良性病変であった.悪性疑いであるカテゴリー4に 良性病変が80%含まれており,大きさ10mm以上であることがその多くの理由となっていた.以上の結果より,カテゴリー分類は胆嚢癌の拾い上げには有用であったが,良性病変もカテゴリー4に多く含まれ今後の検討課題と考えられた.