Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:治療効果判定Ⅱ

(S563)

肝動脈塞栓療法における超音波画像によるモニタリングの意義

Meaning of monitoring by the ultrasonographic image in transarterial embolization

塩澤 克彦1, 小川 眞広1, 三浦 隆生1, 阿部 真久1, 松本 直樹1, 中河原 浩史1, 塩田 淳朗1, 小野 良樹1, 森山 光彦1, 石田 秀明2

Katuhiko SHIOZAWA1, Masahiro OGAWA1, Takao MIURA1, Masahisa ABE1, Naoki MATUMOTO1, Hiroshi NAKAGAWARA1, Aturou SIOTA1, Yoshiki ONO1, Mituhiko MORIYAMA1, Hideaki ISHIDA2

1駿河台日本大学病院内科, 2秋田赤十字病院超音波センター

1gastroenterology and hepatology, Surugadai Nihon University Hospital, 2Center of Diagnostic Ultrasound, Akita Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
血管造影時に施行する炭酸ガスを用いた造影超音波検査は,超音波検査の空間分解能の高さを利用した造影超音波検査として以前より使用されていた.しかし,近年経静脈性の造影超音波検査の開始や血管造影診断用装置とCTが一体型のシステム,corn beam CTの導入などに伴い血管造影時に施行される超音波検査の頻度が激減しているといえる.このような背景の中我々は肝動脈塞栓中に超音波検査で観察を行う有用性を見いだしたので報告する.
【方法】
対象は当院で肝動脈塞栓療法を施行した肝細胞がん症例25症例である.肝動脈塞栓療法施行時にマイクロカテーテルを使用し可能な限り標的腫瘍近傍に挿入し薬剤を動注した.使用装置はGEヘルスケア社製LOGIQ7(使用探触子:3.5c, 7L, 10L),Vscan,である.使用薬剤はミリプラチン,多孔性ゼラチン粒である.薬剤を注入時より標的腫瘍および周囲肝組織を超音波診断装置B-modeでscanし治療モニタリングとした.透視中に観察する場合には適時防護用の手袋を装着し観察を行うようにした.
【結果】
ミリプラチンは親油性の抗がん剤でエマルジョンを施行せずに行うが超音波でも油滴が十分に観察可能であることが確認された.標的腫瘍に関しての観察においては,現在の動脈のみで腫瘍内に十分に抗がん剤が注入されたかどうかの判定ができるほか,腫瘍内を超え薬剤の注入が行われたかの判定も可能であった.また周囲の変化の観察としては,動脈内の薬剤の停滞が確認できるほか,一定量の注入を超えた場合には,肝実質が高エコー化になることが確認された.特に肝実質のエコー輝度が上昇するまで治療がされた症例においては,術後の肝機能の増悪も高いことが確認され薬剤の過投与による所見であることが予想された.超音波検査でのモニタリングは,適切な塞栓療法が施行できているか否かの判定がリアルタイムで高い分解能で可能であり有用であると考えられた.また治療に際して至適動脈か否かの判定においてはVscanでも十分可能であることが確認され今後より簡便な手法として適時活用できることが期待された.
【まとめ】
肝動脈塞栓療法時の超音波検査によるモニタリングは適切な治療領域の判定と薬剤の過投与を防ぐため有用な手法になり得ると考えられた.