Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝癌Ⅱ

(S561)

肝癌RFAにおけるVirtuTRAXの有用性 Two-step Tracking Methodを含めて

The utility of Virtu TRAX under RFA therapy for HCC

佐野 隆友

Takatomo SANO

東京医科大学病院消化器内科

Hepatorogy, Tokyo Medical University

キーワード :

本邦では肝癌の治療にRFA(ラジオ波熱凝固療法)が以前より行われている.RFA治療では電極針を病変部まで刺入,治療を行うがその際超音波ガイドでの穿刺を行っている施設が多いと思われる.超音波ガイドでの穿刺は画像がリアルタイムである為安全性が高く,肝内を走行する脈管や胆管を損傷するといった合併症を回避できる可能性が高いとうメリットがある.しかし症例によっては,皮下脂肪や脂肪肝,肝繊維化が強く針先の描出が不良となる事も珍しくない.又,ひとたび焼灼を開始すると焼灼に伴うガスにより針先の確認は困難となる.Virtu TRAXシステムは“Volume Navigation”を搭載したGE社製LOGIQ E9で使用可能である.Volume Navigationとは磁気センサーを用いてプローブの3次元空間位置情報を把握可能な技術で,空間の任意の場所とリアルタイム超音波断面の位置情報表示やリアルタイム超音波とCTやMR,US Volume Dataとの同期同時表示が可能な技術である.VirtuTRAXシステムは磁気センサーを針に応用したものである.針の根本に専用のブラケットを使って磁気センサーを固定することで,画像上にバーチャルの針先,及びこれから進むであろう針の進行方向を表示をすることが可能になった技術である.針先のトラッキングには針先と磁気センサーの位置関係(距離)をあらかじめ装置に入力するか,もしくはキャリブレーション機能により針先の位置を装置に認識させることで可能となるが,我々の施設では主に磁気センサーとの距離を用いている.今回我々はVirtu TRAXシステムを用い,7例の肝癌症例でRFA治療時の穿刺及び治療モニタリングを行ったので報告する.Virtu TRAXシステムを穿刺の際,針先ガイドとして用いた場合,皮下脂肪の厚い症例,脂肪肝の強い症例でもバーチャルでの針先表示が存在する為,リアルタイム超音波画像でもその描出が容易であった.又Virtu TRAXでは針先の描出面からの「ずれ」も表示される.その為,穿刺の際針先のガイドとしてVirtu TRAXシステムは有用であると思われた.しかし17G以下の細い針(生検針,Coo-tip針)の場合,穿刺の際針自体が曲がる為,針先の表示は不正確なものとなる.(針自体は曲がらないものとして機械は認識している為.)そこで我々は最初に針先から15cmの比較的距離が近い部位にVirtuTRAXのブラケットを装着した.そうすることによって「シャフトの曲がり」によるnavigationのズレを防ぐことができた.(シャフトが短いので曲がりづらい.)また,穿刺針を深部まで穿刺する場合は穿刺の途中でVirtuTRAXブラケットを適切な部位に装着し直して,「シャフトの曲がり」がない状態で針先の位置を確認しながら深部まで穿刺することも可能であった(Two-step Tracking Method).又,RFA治療中は発生するガスにより針先の描出は困難となる.又,腫瘍もガスにより認識困難となるが,これに対してはVolume Navigationシステムを用い,術前に治療範囲の超音波ボリュームデータを取得,あらかじめ腫瘍に球形の立体的マーキングを行い,治療中はそのデータと同期させる事により治療の評価が容易に行えた.さらにVirtu TRAXを用いる事で,針先だけでなく針のシャフトが腫瘍のどの位置を通過しているかなどのイメージもつかみやすくなった.Virtu TRAXシステムはRFA施行時において,穿刺,術中のモニタリングに有用であると考えられた.