Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:膵:超音波内視鏡・他

(S554)

当科における膵病変に対するEUS-FNAの成績

Result of EUS-FNA for pancreatic diseases in our institution

高岡 亮, 池浦 司, 三好 秀明, 島谷 昌明, 住本 貴美, 栗島 亜希子, 内田 一茂, 関 寿人, 岡崎 和一

Makoto TAKAOKA, Tsukasa IKEURA, Hideaki MIYOSHI, Masaaki SHIMATANI, Kimi SHUMIMOTO, Akiko KURISHIMA, Kazushige UCHIDA, Toshihito SEKI, Kazuichi OKAZAKI

関西医科大学消化器肝臓内科

Gastroenterology and Hepatology, Kansai Medical University

キーワード :

【背景・目的】
超音波内視鏡下穿刺吸引生検細胞診(EUS-FNA)は,膵疾患において病理学的診断が重要になっているなかで主要な診断手段のひとつになっている.当科では2006年1月より導入し2007年2月より積極的に行うようになっている.当科における膵病変に対するEUS-FNAの成績を明らかにすることを目的とした.
【対象・方法】
2006年1月〜2012年10月に当科で病理学的診断を目的としてEUS-FNA施行した膵疾患140例.疾患の内訳は,膵癌104例,自己免疫性膵炎21例,内分泌腫瘍8例,慢性膵炎4例,その他3例であった.超音波内視鏡はUE260-AL5(オリンパス),Pro soundα5(アロカ),穿刺針は22G(オリンパスメディカルシステムズ)または25G(COOKメディカル)を用いた.十二指腸または胃より膵病変を描出した.穿刺吸引後直ちに細胞診断士にて迅速染色鏡検を行い,仮診断および追加穿刺の要否を判断した.細胞診は良悪性の診断を,組織診断は各疾患の病理組織診断が得られたものを正診とした.EUS-FNAの疾患別の診断能,病変部位別診断能,合併症について,retrospectiveに検討した.
【結果】
疾患別の細胞診,組織診の正診率はそれぞれ,膵癌94.2%,26.6%,自己免疫性膵炎100%,0%,内分泌腫瘍100%,85.7%,慢性膵炎100%,25%,その他33%,0%であった.部位別の細胞診診断能は膵頭部,体尾部それぞれ,膵癌89%,98%,自己免疫性膵炎100%,100%,内分泌腫瘍100%,100%であった.部位別の組織診断能は膵頭部,体尾部それぞれ,膵癌20%,32%,自己免疫性膵炎0%,0%,内分泌腫瘍100%,67%であった.合併症は3例(2%)で,感染,出血,膵炎が各1例みられた.いずれも保存的に軽快した.
【考察・結論】
EUS-FNAは膵疾患の診断,とくに良悪性の診断に有用であった.細胞診の診断能は高かったが病理組織診断能は改善が望まれる.頭部病変に比べ体尾部病変の診断能がより高かった.合併症は少ないが注意は必要である.EUS-FNAは膵疾患の病理学的診断に有用である.