Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器・その他

(S548)

ParametricMFIによる肝細胞癌の血流評価

ParametricMFI of the hepatocellular carcinomas

山本 幸治1, 福本 義輝1, 清水 敦哉2, 白木 克哉3

Kouji YAMAMOTO1, Yoshiteru FUKUMOTO1, Atsuya SHIMIZU2, Katsuya SHIRAKI3

1済生会松阪総合病院医療技術部超音波検査室, 2済生会松阪総合病院内科, 3三重大学消化器肝臓内科

1Division of Ultrasound, Saiseikai Matsusaka General Hospital, 2Department of internal Medicine, Saiseikai Matsusaka General Hospital, 3Gastroenterology and Hapatology, Mie University school of Medicine

キーワード :

【はじめに】
近年の超音波技術の進歩は著しく肝臓疾患の診断においては日常診療では必須の検査となっている.特に造影超音波の診断能力はCT,MRIと肩を並べるようになってきた.肝腫瘤の精密診断としてSonazoid造影超音波検査が使用可能となり腫瘤の血流動態がより身近で観察出来診断に貢献できる時代となってきた.Sonazoidは,超音波の中低音圧で微小気泡を共振させた時に発生するハーモニック信号に造影効果を得るために連続的にリアルタイムに造影効果が比較的簡単に腫瘍血管が観察でき多方面から何度も観察でき診断が可能となってきた.しかし,高分化型肝細胞癌の診断および生物学的悪性度評価に対して困難であることに遭遇する.今回我々は,肝細胞癌におけるソナゾイド造影超音波検査(CEUS)のParametricMFI所見と病理所見を対比し検討した.
【対象と方法】
対象は,CEUSを施行し組織診断がなされた10例(高分化肝細胞癌 2例,中・低文化型肝細胞癌 8例)である.CEUSにおけるParametricMFIとは,造影剤到達時間のParametric Imagingである.これは,造影剤が最初に到達した場所を基準とし,その後にバブルが到達した時間,すなわちピクセルの輝度が上昇した時間を監視し,その時間に対応する色をマッピングするものである.マッピングの設定は,到達時間の早いものは暖色系の色で遅くなるにつれて寒色系の色にした.CEUSのvascular phaseにおける血流動態を,ParametricMFIを用いて組織診断の結果と比較検討した.使用装置は,超音波診断装置SSA-790A(AplioXG,東芝メディカルシステムズ)を使用した.
【結果】
中・低分化型肝細胞癌では,腫瘤部が早期〜中期にカラーマッピングされその後肝実質がカラーマッピングされた.高分化型肝細胞癌では,腫瘤部の染影が肝実質の染影より遅れてカラーマッピングされた.
【考察】
中・低分化型肝細胞癌については,vascular phase では,腫瘤部が早期〜中期に赤色にマッピングされその後肝実質がマッピングされた.高分化型肝細胞癌では,腫瘤部の染影が肝実質の染影より遅れてカラーマッピングされ早期濃染(赤色)は認められませんでした.高分化型肝細胞癌の診断および生物学的悪性度評価に対しては困難であることに多々遭遇することがある.境界病変から早期肝癌への移行時期にはわずかな動脈血流や門脈血流の変化が生じる.この時期も造影超音波検査のParametricMFIのカラーマッピングは染影の時相が一目で把握可能であり,高分化型肝細胞癌の診断にも寄与すると考えられる.
【結語】
肝細胞癌のCEUSにおいてParametricMFIを用いることは簡便に肝細胞癌の悪性度を知るうえで有用であると思われる.