Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:脾臓

(S542)

3次元超音波を用いた部分的脾動脈塞栓術後の脾容積測定

Total and viable residual splenic volume measurement after partial splenic embolization by three-dimensional

日高 央1, 藤井 滋2, 柳原 美智子2, 木田 光広1

Hisashi HIDAKA1, Shigeru FUJII2, Michiko YANAGIHARA2, Mitsuhiro KIDA1

1北里大学消化器内科, 2北里大学東病院超音波室

1Department of Gastroenterology, Kitasato University School of Medicine, 2Department of Ultrasonography, Kitasato University East Hospital

キーワード :

【目的】
部分的脾動脈塞栓術(以下,PSE)は,血小板の増加のみならず門脈圧低下作用などを目的として施行されることが多く,その塞栓体積によって治療後の効果と合併症の予測が可能である.今回,我々は3次元超音波装置を用いたPSE後の脾容積測定のValidityを検証したので報告する.
【対象・方法】
対象は2009年5月から2011年11月までに脾種と診断され治療目的でPSEを施行された20例(男性9例,女性11例).平均年齢60.3±8.3歳.Child-Pugh scoreは6.1±1.4点.PSEは全体の50〜70%を目標塞栓容積としておこなった.使用した超音波装置はGE社製LOGIQ7,4D3CL convex probeにて施行.全脾容積測定は Auto Sweepモードにて行い,6断面を得た後に測定部の輪郭を術者自身が囲み,VOCALTMソフトウエアが自動で容積計算を行った.続いて非塞栓部の容積測定をおこなうために,Sonazoidを体重当たり0.01 ml/kg静脈注射し,mechanical index 0.2, dynamic range 6065 dB, single focus point を皮膚より10 cm の深さに固定しpost vascular phaseにて3D画像を構築した.術者として,超音波経験10年以上の超音波技師2名の内のいずれかが,臨床情報を知り得ない形で施行した.比較対象にはCT volumetryを用い,Validityを調べる方法として,interclass correlation coefficients (ICCs) および Bland-Altman plots法にて評価した.両造影検査は,PSE後1週間以内に施行した.また本研究は当大学C倫理委員会承認(ID 09-541)のもと施行している.
【結果】
20症例すべてにおいて,全脾及び非塞栓部容積測定が可能であった.全脾容積は503±250 ml,非塞栓部は209±108 mlであった.全脾容積測定においては,CT volumetryと高い相関(r=0.917, P<0.001) を示し,ICCsも0.90 (0.748-0.961) と良好な一致率を示した.一方,非塞栓部の検討においては弱い相関(r=0.498, P=0.029) を示し,ICCsも0.617 (0.0320.848)と良好な一致率を示せなかった.この傾向は全容積が1000mlを超える症例において有意な傾向を示した.
【考案・結語】
3次元超音波装置を用いたPSE後の脾容積測定において,全脾容積が1000mlを超える症例では,非塞栓部の容積測定を行う場合には更なる検査手技の改良が必要と考えられた.