Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:腫瘍:造影超音波

(S538)

小児悪性固形腫瘍に対する造影超音波検査の検討

Examination of an imaging contrast ultrasonography to malignant solid tumors in pediatrics

須貝 道博

Michihiro SUGAI

弘前大学医学部附属病院小児外科

Pediatric Surgery, Hirosaki University School of Medicine

キーワード :

【目的】
第2世代の超音波造影剤ソナゾイドを用いた造影超音波検査が開始され,約5年が経過しているが,この間小児領域での報告例は少ない.sonazoidoの特徴はクッパー細胞に取り込まれるとともに血管内を長時間循環することである.今回われわれはsonazoidoを用いた造影超音波検査を小児悪性固形腫瘍(肝転移例を含む)に用い,描出能について検討した.
【対象・方法】
対象は2009年1月より2012年12月までの4年間に当科で経験した悪性固形腫瘍18例である.男児5例,女児13例で疾患の内訳は肝芽腫(術前例1例,術後2例)3例,肝転移(腎細胞癌,肝芽腫残肝再発)2例,肝細胞癌1例,腎悪性腫瘍4例(腎芽腫3例,PNET1例),副腎,後腹膜腫瘍4例(神経芽腫4例),悪性胚細胞腫瘍3例(卵巣悪性奇形腫2例,精巣腫瘍1例)である.年齢は学童6例,年少例14例であった.sonazoidoは0.1〜0.5ml/bodyで用手的に静注した.使用装置は東芝Aplio で探触子は小児用コンベックスPVT674BTを用いた.
【結果】
肝芽腫に対してはearly arterial phaseでの腫瘍濃染像とpost vasucular phaseでの欠損像を認め,成人型肝細胞癌と同様に診断に有用であった.肝芽腫術前1例では腫瘍辺縁像が明瞭に描出され,肝芽腫術後2例中1例では残肝部分での再発は認められlate vasucular phaseでの欠損像が描出され,肝転移巣の診断に有用であった.また術中超音波検査では門脈,肝静脈との関係が明瞭に描出され,再発腫瘍切除に関し重要な情報が得られた.転移性肝癌ではearly arterial phaseの2例ともリング状〜円形の造影効果を認め,late vasucular phaseから明確な欠損像が描出され,大きさ,個数を観察するのに有用であった.腎悪性腫瘍ではearly arterial phaseでの腫瘍濃染像が著明で腫瘍内血液分布像から周囲血管との関係や腫瘍摘出の有無に関し,有力な情報をもたらした.副腎悪性腫瘍ではvasucular phaseでの肝への浸潤の有無に対し有力な情報が得られた.悪性胚細胞腫瘍では肝転移の有無の検索でlate vasucular phaseでの欠損像が1例確認された.
【考察】
小児悪性固形腫瘍の造影超音波検査では特にearly vascular phaseでの腫瘍内血管分布像から腫瘍内血流表示が明瞭で,周囲血管との関係や腫瘍摘出の有無に関し,有力な情報をもたらした.転移性肝腫瘍の境界明確な欠損像の検出が良好でpost vascular phaseではいずれも陰影欠損を呈した.各種画像診断の中で術中造影超音波検査の描出率は高く,CT検査を上まるものであった.