Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

一度このページでloginされますと,Springerサイト
にて英文誌のFull textを閲覧することができます.

cover

2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:消化器Ⅱ

(S529)

検出率向上への取組み後の腹部超音波検査における消化管癌(胃・大腸)の検出率について

Detection rate of the gastric and colorectal cancer using abdominal ultrasonography after the education of sonographist for improving detection rate

川島 望1, 乙部 克彦1, 高橋 健一1, 安田 慈1, 今吉 由美1, 高木 優1, 杉田 文芳1, 熊田 卓2, 多田 俊史2, 金森 明2

Nozomi KAWASHIMA1, Katsuhiko OTOBE1, Kennichi TAKAHASHI1, Shigeru YASUDA1, Yumi IMAYOSHI1, Yuu TAKAGI1, Fumiyoshi SUGITA1, Takashi KUMADA2, Toshifumi TADA2, Akira KANAMORI2

1大垣市民病院形態診断室, 2大垣市民病院消化器内科

1Department of Clinical Research, Ogaki Municipal Hospital, 2Gastroenterology, Ogaki Municipal Hospital

キーワード :

【はじめに】
我々は日本超音波医学会第85回学術集会にて,当院の腹部超音波スクリーニング検査における進行胃癌と進行大腸癌の検出率について報告した.しかし,その結果は満足いくものではなかった.そこで検出率の向上を目的とし,他施設へ消化管超音波検査の研修を行い,消化管の系統的な観察を徹底させた.今回は検出率の向上が見られたのでその結果を報告する.
【対象】
対象は,2012年4月から同年10月までの間に当院で胃癌・大腸癌にて手術が施行された進行胃癌90症例・大腸癌119症例のうち,胃・大腸内視鏡検査もしくは胃透視・注腸X線検査にて確定診断された前2か月以内に,腹部超音波検査が施行された胃癌34症例,大腸癌52症例である.内訳は,進行胃癌例:男女比25:9,平均年齢71歳,腫瘍径中央値60mm,進行大腸癌例:男女比39:13,平均年齢72歳,腫瘍径中央値40mmであった.胃占拠領域(上部:6例,中部:13例,下部:15例),胃存在位置(前壁:10例,後壁:2例,小彎:16例,大彎:6例),大腸存在位置(上行:19例,横行:4例,下行:0,S状:14例,直腸:15例),大腸環周率(1/2周未満:7例,1/2周:3.例,1/2周超え:11例,全周31例)である.
【方法】
全例無処置にて腹部超音波検査を施行し,実質臓器および消化管に対しスクリーニング検査を行った.検査時に血液・生化等の患者の前情報は検者には知らされていない.癌とした超音波所見は,胃は限局性またはびまん性の層構造の消失した壁肥厚(6mm以上),大腸は層構造が消失した限局性の壁肥厚(5mm以上)とし,壁硬化像,内腔面の不整や漿膜の不整,内腔の狭窄の有無により総合的に行った.検討項目は,占拠領域,存在位置,腫瘍径,腫瘍環周率,癌の肉眼型,深達度とそれぞれの検出率について比較検討した.
【結果】
以下に結果を示す.( )内は85回学術集会の検出率である.全体の検出率は,進行胃癌73.5(53.1)%,進行大腸癌73.1(45.4)%であった.胃の占拠領域別検出率は,上部16.7(25.0)%・中部76.9(43.9)%・下部93.3(64.2)%であった.存在位置別検出率では,前壁100(75.0)%・後壁50(48.6)%・小彎68(54.9)%・大彎50(35.7)%であった.大腸存在位置では,上行結腸84.2(61.7)%,横行結腸50(54.8)%,S状結腸78.6(38.4)%,直腸53.3(29.7)%であった.また腫瘍環周率が大きいほど検出率が高かった.腫瘍径は,胃・大腸ともに腫瘍径が大きいほど,また肉眼型別検出率は,胃・大腸ともに3型,4型の検出率が高く,同様に深達度が深いほど検出率が高かった.
【考察】
当院の進行胃癌・進行大腸癌の検出率は約70%であり,以前に比べ検出率の向上がみられた.以前は,個々による画像所見の見解や検査方法に差がみられたが,統一された系統的な走査方法を徹底することより改善が見られたと考える.今後も,さらなる検出率向上に精進していきたいと思う.