Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ) Ⅰ

(S525)

消化管疾患におけるVirtual Touch Tissue QuantificationによるShear wave測定の試み

Measurement of Shear wave in gastrointestinal disease by Virtual Touch Tissue Quantification

是永 圭子1, 茶谷 成1, 今村 雅俊1, 伊藤 里美2, 只野 薫2, 澤部 祥子2, 上村 直実1

Keiko KORENAGA1, Naru CHATANI1, Masatoshi IMAMURA1, Satomi ITO2, Kaoru TADANO2, Syoko SAWABE2, Naomi UEMURA1

1国立国際医療研究センター国府台病院消化器・肝臓内科, 2国立国際医療研究センター国府台病院中央検査部

1Department of Gastroenterology and Hepatology, Kohnodai Hospital, National Center for Global Health and Medicine, 2Department of Clinical Laboratory, Kohnodai Hospital, National Center for Global Health and Medicine

キーワード :

【目的】
Virtual Touch Tissue Quantification(VTTQ)は,組織弾性とShear wave伝搬速度の関係を利用し,硬さを定量化する手法である.VTTQの簡便性・術者非依存性という利点からも,その手法は肝線維化診断を中心に臨床の場で普及しているが,消化管疾患への応用の報告は未だない.そこで消化管疾患におけるVTTQを用いた硬度測定を行い,臨床応用が可能か検討した.
【方法】
VTTQを施行した消化管疾患23例を対象とした.内訳は,胃癌6例,大腸癌9例,胃潰瘍3例,潰瘍性大腸炎1例,大腸クローン病1例,感染性腸炎3例である.超音波装置はシーメンス社製 ACUSON S2000で,プローブは9L4リニアプローブ(4〜9MHz)を用いた.全症例特殊な前処置は施行せず,病変が明瞭に描出される部位においてROIを設定し,Velocity of shear wave (Vs)を計測した.非病変部についても,可能な限り病変部近傍の部位で病変部とほぼ同じ深さの腸管壁にROIを設定し,同様に計測を行った.病変部も非病変部いずれも安定して測定し得た5回以上のVs値の平均値を測定値とし,病変部のVs値を非病変部のVs値で除した値(以下Vs比)も参考として検討した.
【成績】
全例においてVs値の測定は可能だった.Vs値は,胃癌3.80±1.25m/s(非病変部のVs値; 1.44±0.34m/s,Vs比; 2.62±0.38),大腸癌3.95±0.94m/s(非病変部Vs値; 1.85±0.49m/s,Vs比; 2.27±0.80),胃潰瘍3.20±0.91m/s(非病変部Vs値; 1.92±0.83m/s,Vs比; 1.75±0.41),潰瘍性大腸炎1.27m/s(非病変部Vs値; 1.10 m/s,Vs比; 1.16),大腸クローン病2.71m/s(非病変部Vs値; 1.58m/s,Vs比1.72),感染性腸炎2.12±0.91m/s(非病変部Vs値; 1.87±0.97m/s,Vs比; 1.16±0.12)であった.胃癌と大腸癌を併せた癌症例群のVs値は3.89±0.99m/sで,それ以外の非癌症例群のVs値 2.49±0.98m/sより有意に高かった(p<0.05).また,癌症例群のVs比は2.40±0.68で,非癌症例群のVs比1.49±0.40より有意に高かった(p<0.005).
【考案】
病理学的な裏付けはなされていないが,癌症例群は非癌症例群よりVs値が有意に高かったことより,消化管疾患においてもVTTQは病変の硬さを反映していると考えられる.しかし,同一症例においてもVs値のばらつきが大きい症例もあり,それが真の組織の性状の反映なのか,測定誤差に因るものか今後も検討が必要である.
【結論】
消化管疾患においてもVTTQの応用が可能であることが示唆された.