小野 尚文¹, 田中 賢一¹, 江口 尚久¹, 大枝 敏², 江口 有一郎², 水田 敏彦²

Naofumi ONO¹, Kenichi TANAKA¹, Takahisa EGUCHI¹, Satoshi OHOEDA², Yuichirou EGUCHI², Toshihiko MIZUTA²

¹ロコメディカル江口病院内科, ²佐賀大学内科

¹Medicine, Eguchi Hospital, ²Medicine, Saga University School

キーワード :

【はじめに】
肝細胞癌に対するラジオ波焼灼療法（以下FRA）は，最も有用な局所療法である．しかしその治療効果判定は造影エコー法ではなく，残念ながら造影CTやMRIで行われているのが現状である．造影エコー法で行われない理由として，①任意の断面描出されるため基準面の設定が難しいこと，②造影エコー法ではbase line image の画質が悪いなど，様々な要因があげられる．RFA後には癌部の描出が不明瞭になるが，治療前の肝細胞癌を正しくマーキングできれば，ソナゾイド造影エコー法でも十分評価可能ではないかと思われる．また最近の超音波装置の進歩により，3D volume data（3D-VD）の臨床応用により新たな手法が可能になった．今回我々は，治療前の肝細胞癌を立体的にマーキングを工夫し，US の3D-VDを用いてRFAの治療効果判定を試みてみた．
【対象】
RFA後の1週間以内に3D-VDを用いたソナゾイド造影超音波法にて評価を行った10例（そのうち5症例はTACE併用）である．男性8例，女性2例．平均腫瘍径は20.1mm（10〜28mm）である．
【方法】
手法1．造影エコー法における3D cut plane scroll（3D-scrol）法．TACE＋RFA併用療法時に用いた方法であり，TACE時にリピオドールを選択的に注入することで癌部をマーキング．RFA後の造影エコー法にて3D-VDを取得し，任意の断面にて焼灼範囲を評価した．手法2．Volume Navigation systemによるUS/US同期法：Volume matching（VM）法．RFA単独療法時に用いた方法であり，3D-VD（磁気センサーの位置情報をもつデータ）でRFA前の癌部をマーキングし，RFA療法後のUS像で位置を同期させ，造影エコー法で焼灼範囲を評価した．使用した装置はLOGIQ7またはLOGIQ S8である．造影エコー法は．ソナゾイド0.4ml注入後の後期血管相で，それぞれphase inversion法及びamplitude modulation法を用いた．評価は，TACE+RFAの5例は3D-scrol法により，RFA単独の5症例はVM法でsafety marginを含め癌部が十分に焼灼できているかを造影CTと比較検討した．
【結果】
3D-scrol法はで，5例とも癌部はリピオドールの集積部は高エコーになり追加焼灼された周辺部は低エコー帯として認められsafety marginの評価が任意の方向から行えた．VM法では，5例ともRFAの焼灼範囲内に癌部のマーキングを十分含んでいた．造影CTにおいても全例同様の評価であった．
【考察および結語】
今回我々が行った方法は症例数が少ないも造影超音波法でのRFA治療効果判定に有用であった．我々の施設では21mmの肝細胞癌症例は被膜外浸潤を考慮し基本的には選択的TACE+RFA療法を行っている．この方法では，血流のある癌全体に時間をかけリピオドールを選択的に集積させる必要があり手技的問題もあるも，3D-scrol法による効果判定は有用と思われた．RFA単独療時に行ったVM法では，プローブの位置や息止めの微妙な違いで同一断面の描出に苦慮することもあり，小さなサイズの方が適しているように感じた．これらの方法は，超音波でそれも三次元画像でRFAの治療効果判定が可能であり，有用な手法の一つと思われた．