Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:治療効果判定Ⅰ

(S524)

肝癌の経皮的治療における超音波完結型,診断・治療・効果判定システムの可能性

A potential ultrasound-based system for diagnosis, percutaneous ablation, and therapeutic assessment in patients with hepatocellular carcinoma

利國 信行1, 林 伸彦1, 松江 泰弘1, 尾崎 一晶1, 詫間 義隆2, 友國 淳子2, 山本 博2, 堤 幹宏1, 有沢 富康1

Nobuyuki TOSHIKUNI1, Nobuhiko HAYASHI1, Yasuhiro MATSUE1, Kazuaki OZAKI1, Yoshitaka TAKUMA2, Junko TOMOKUNI2, Hiroshi YAMAMOTO2, Mikihiro TSUTSUMI1, Tomiyasu ARISAWA1

1金沢医科大学消化器内科学, 2倉敷中央病院消化器内科

1Department of Gastroenterology, Kanazawa Medical University, 2Department of Gastroenterology and Hepatology, Kurashiki Central Hospital

キーワード :

【目的】
肝癌(HCC)の経皮的治療,特にラジオ波凝固療法(RFA)は確立された治療である.しかし,HCCの診断,治療,効果判定という一連の過程からみると,各々で使用されるモダリティの違い(治療は超音波(US)が主体,他は別のモダリティが主体)が煩雑さを生んでおり,改善の余地がある.さらに,USによるHCC結節の同定,治療の正確性・安全性は常に向上が求められる.近年続々と登場してきた,造影US(CEUS),仮想US(RVS),三次元/四次元US(3D/4D-US)というUSの新技術によって,US単独でこの過程が完結しうるか,また治療の精度が向上するかどうか検証した.
【方法】
経皮的治療はRFAを主体とし,Cool-tip RFシステム(タイコヘルスケア)を用いた.RFA困難例にはエタノール注入療法(PEIT)を施行した.CEUSにはSonazoid(第一三共)を用い,1注入あたり0.7 ml使用した.(1)CEUS,RVSを用いた診断,治療(プランニング,ガイダンス).特に,B-mode USにて同定困難なHCC結節に対する有用性の検討.US装置として,CEUS,治療にはAPLIO SSA-700A/SSA-770A(東芝メディカルシステムズ),RVSにはHI VISION 900(日立メディコ)を使用.(2)3D-USによるRFA穿刺の正確性評価.2D-USガイド下に穿刺したHCC結節に対して3D-US画像を保存しておき,治療後に穿刺の正確性および治療効果を評価.US装置としてSSA-790A(東芝メディカルシステムズ),3DプローブはPVT-382BTを使用.(3)CEUS,RVS,3D-USを用いたRFAの効果判定.参照画像をUSとし,すべての過程においてHI VISION Preirus(日立メディコ)を使用.
【結果】
(1)同定困難な60結節のうち,CEUS,RVSにて58結節が同定された.そのうち,46結節がRFA,6結節がPEIT可能であった.RFAを施行された結節のうち,15結節はCEUSガイド下,24結節は人工胸腹水注入下に穿刺が行われ,計44結節が治療可能であった.(2)49結節に対して評価.2D-USでは1回穿刺で凝固十分と考えられた36結節のうち,3D-USでは22結節が,ずれ穿刺となっており,中心穿刺とされた14結節と比較すると,1回穿刺治療後のCTによる効果判定ではmargin不十分な結節が有意に多く,総穿刺回数も有意に多かった.(3)18結節に対してUSによる効果判定を実施.治療前の3D-US画像と治療後のCEUS画像をRVSによって同期させ,球マーカーを指標にして凝固範囲を評価することができた.
【考察】
HCCの診断(の一部),経皮的治療(プランニング,ガイダンス),効果判定という一連の過程はUSの新技術で高い精度をもって完結しうる.今後,3D/4D-USの進歩(空間分解能向上,リアルタイム性向上,プローブ小型化)や治療前後の3D-US像を簡便・正確にoverlayする技術の進歩などによって治療と効果判定の精度がさらに向上し,US完結型治療システムのルーチン化が可能であると考えられる.
【結語】
HCCの経皮的治療において,CEUS,RVS,3D/4D-USを活用することにより,US完結型治療システムを構築しうる.