Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:治療効果判定Ⅰ

(S523)

ラジオ波焼灼療法を施行した3cm以内低分化肝細胞癌の術前画像所見と予後の検討

Charactristic of image of poorly differenciated hepatocellular carcinoma after radiofrequency ablation

西村 貴士, 安井 豊, 土谷 薫, 玉城 信治, 鈴木 祥子, 細川 貴範, 中西 裕之, 板倉 潤, 黒崎 雅之, 泉 並木

Takashi NISHIMURA, Yutaka YASUI, Kaoru TSUCHIYA, Nobuharu TAMAKI, Shoko SUZUKI, Takanori HOSOKAWA, Hiroyuki NAKANISHI, Jun ITAKURA, Masayuki KUROSAKI, Namiki IZUMI

武蔵野赤十字病院消化器科

Division of Gastroenterology and Hepatology, Musashino Red Cross Hospital

キーワード :

【目的】
肝癌診療ガイドラインの治療アルゴリズムには治療法選択基準として肝障害度(肝予備能)・腫瘍数・腫瘍径が記載されている.一方Sonazoid造影超音波検査やEOB造影MRI検査の登場により腫瘍数や腫瘍径ではない,術前画像検査による悪性度診断の有用性が注目されている.今回我々はラジオ波焼灼療法(RFA)後播種の危険因子とされている低分化型肝細胞癌について術前画像所見とRFA治療後経過について検討した.
【方法】
2008年3月から2012年10月まで当院にて切除が適応とならず,腫瘍生検を施行し低分化型肝細胞癌と診断されRFAを施行した10症例10結節のSonazoid造影超音波・MDCT・Gd-EOB-DTPA造影MRI所見およびRFA後治療経過を検討した.Sonazoid造影超音波は東芝メディカル社製Aplio XGを用い,Sonazoidは0.5ml/bodyをbolus静注し,90秒後まで血管相(動脈優位相,門脈優位相)として観察した.その後一旦scanを停止,10分後より後血管相(Kupffer phase)として観察した.Gd-EOB-DTPA造影MRI(EOB-MRI)はdynamic study(動脈優位相,門脈優位相,後期相)および20分後の肝細胞相を評価した.
【成績】
対象症例の平均年齢は75歳,男性5例・女性5例,HCV陽性4例・HBV陽性2例・非B非C 4例であった.平均腫瘍径は19±6mm,初回治療8例・再発治療2例であった.Sonazoid造影超音波動脈優位相では8/9結節がhypervascularで,門脈優位相では全結節でwashoutを認め腫瘍部は明瞭な低エコー結節として描出された.Kupffer相は投与後10分で全結節が境界明瞭なcomplete defectを呈し,3/10結節が原発性肝癌取扱い規約に記載されている単純結節周囲増殖型と診断可能であった.腫瘍径9mmの結節では肉眼分類診断はSonazoid造影超音波Kupffer相およびEOB-MRI肝細胞相においても困難であった.EOB-MRI動脈優位相では7/7結節が高信号を呈し,肝細胞相では7/8結節が明瞭な低信号,8/9結節が一部低信号であった.拡散強調画像が評価可能であった5結節では全例が明瞭な高信号を呈した.MDCT動脈優位相では9/10結節が動脈優位相で高吸収をしめし,低吸収であった1結節はSonazoid造影超音波およびEOB-MRI動脈優位相ではhypervascular lesionとして描出された.MDCT門脈優位相では7/10結節が低吸収,平衡相では9/10結節が低吸収であった.平均観察期間694日(中央値597日)でRFA後局所再発を2例に認め同部位にRFAを施行し,その後局所コントロールは良好であった.経過観察中明らかな播種や遠隔転移は認めなかった.
【考案】
3cm未満の結節であっても,血管相早期に明瞭なwashout・Kupffer相でcomplete defectを呈し,EOB-MRI肝細胞相で明瞭な低信号かつ拡散強調像で高信号の場合は低分化型肝細胞癌の可能性を考え,治療法を検討すること必要である.RFAが選択される場合には局所再発のリスクが高いことを念頭におき治療戦略をたてることが重要である.播種や遠隔転移については多数例での長期観察が必要である.