Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:エラストグラフィー

(S520)

フィブロスキャンによる肝硬度が上昇する非線維化疾患の検討

Elevation of Liver Stiffness Measurement in Patients without Liver Fibrosis

斎藤 聡1, 伝法 秀幸2, 窪田 幸一2, 宇賀神 陽子2, 竹内 和男3

Satoshi SAITOH1, Hideyuki DENPO2, Kouichi KUBOTA2, Youko UGAJIN2, Kazuo TAKEUCHI3

1虎の門病院肝臓センター, 2虎の門病院分院臨床検査部, 3虎の門病院消化器内科

1Department of Hepatology, Toranomon Hospital, 2Department of Clinical Laboratory, Toranomon Hospital kajigaya, 3Department of Gastroenterology, Toranomon Hospital

キーワード :

【目的】
フィブロスキャンは非侵襲的に肝硬度測定ができ,肝の線維化評価が可能とされるが,肝硬度と肝線維化は良好な相関関係をみとめる.しかしながら,線維化以外にも肝硬度が上昇することがみられる.そこで,今回,肝線維化がみられないにもかかわらず,フィブロスキャンによる肝硬度測定(LSM)で,高値を呈した症例に関して検討する.
【対象と方法】
対象はフィブロスキャン502にて肝硬度測定を施行した4550症例の内,肝線維化がみられず,LSMが高値であった55例.フィブロスキャンは右肋間より10回測定し,中央値を採用した.IQR30%以下とし,同時に記録した8MHzのリニア型Bモードにて皮下厚が25mm未満の症例に限定した.測定に関して血管や嚢胞・腫瘍などの構造物は避けて施行した.LSM値の正常上限は健常者357例から,5.1kPaとした.可能な限り,肝生検を施行し,線維化のないことを確認した.線維化がみられた症例は除外した.
【成績】
LSM値は5.2〜75kPa(中央値14.5kPa)であった.内訳はADPKD(常染色体優性遺伝多発嚢胞腎)45例,直径20cm超の巨大肝嚢胞1例,原発性アミロイドーシス3例,NRH(Nodular Regenrative Hyperplasia)1例,Osler-Rendu-Weber病1例,急性肝炎3例(A型1例,B型1例,薬剤性1例),うっ血肝1例であった.急性肝炎は継時的にLSM値を観察し,いずれもトランスアミナーゼの低下とともに低下がみられた.それ以外の疾患ではLSMの低下がみられた症例は存在しなかった.また,急性肝炎でもALT200IU未満では上昇しない症例や,IPH,Osler-Rendu-Weber病でLSM正常例も存在した.
【結論】
LSMによる肝硬度は線維化と相関関係があるが,急性炎症・血管異常からくる非線維化肝疾患やアミロイド沈着などによる粘性度の影響や,うっ血や多発嚢胞などの機械的な圧排により上昇することがあることが明らかとなった.また,非線維化でのLSM高知例は原因が除去できるとLSMが低下する.