Online Journal
電子ジャーナル
IF値: 1.878(2021年)→1.8(2022年)

英文誌(2004-)

Journal of Medical Ultrasonics

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2013 - Vol.40

Vol.40 No.Supplement

一般口演
消化器:肝:造影超音波

(S518)

造影超音波による腫瘍微細血管構築像評価の有用性

Value of micro micro-flow imaging with contrast-enhanced ultrasound for hepatocellular carcinoma

安井 豊, 土谷 薫, 玉城 信治, 鈴木 祥子, 細川 貴範, 西村 貴士, 中西 裕之, 板倉 潤, 黒崎 雅之, 泉 並木

Yutaka YASUI, Kaoru TSUCHIYA, Nobuharu TAMAKI, Shoko SUZUKI, Takanori HOSOKAWA, Takashi NISHIMURA, Hiroyuki NAKANISHI, Jun ITAKURA, Masayuki KUROSAKI, Namiki IZUMI

武蔵野赤十字病院消化器科

Department of Gastroenterology and Hepatology, Musashino Red Cross Hospital

キーワード :

【背景・目的】
近年超音波機器・超音波造影剤の進歩により,肝腫瘍の微細血管構築像が描出可能となり,肝細胞癌における悪性度との関係が注目されている.今回我々は肝細胞癌の腫瘍微細血管構築評価の有用性を明らかとするため,治療前に評価した腫瘍の微細血管構築パターンと病理結果を比較検討した.
【対象・方法】
2011年1月から2012年3月までに当院で造影超音波を施行し,腫瘍の微細血管構築判定を行った68結節のうち,病理所見が得られた23結節(生検7結節,切除 16結節)を対象とした.超音波装置は東芝Aplio XGを使用し,sonazoid 0.5ml/bodyをbolus投与後2分後のmicro flow imagingを撮像した.検査施行時点で微細血管構築を分類し,この結果とその後に判明した病理結果との比較検討を行った.微細血管構築は既報(田中ら 肝臓,2009)に基づき,微細均一な脈管のみの“fine”,腫瘍血管を認識できる“vascular”,太い腫瘍血管を含み不規則な形態を呈する“irregular”の3群に分類した.
【結果】
68結節中,fine / vascular / irregularが29/ 25/ 14であり,平均腫瘍径はそれぞれ 20.2/ 25.3/ 37.6mmであった.irregularと判定した結節はfine/ vascularと比較して有意に腫瘍径が大きく(p<0.0001/ p=0.001),vascularと判定した結節はfineと比較して有意に腫瘍径が大きかった(p=0.02).病理が得られた23結節はF/ V/ Iが7/ 10/ 6であり,高分化型肝細胞癌は3(43%)/ 2(20%)/ 1(17%)であったのに対し,低分化型肝細胞癌は0/ 1(10%)/ 2(33%)とV/ Iにのみ認めた.切除検体はF/ V/ Iが4/ 7/ 5であり,vp1以上を認めた結節は,fine/ vascular/ irregularで2(50%)/ 4(57%)/ 4(80%)であり,vascular/ irregularで1結節ずつvp2を認めた.vp2はいずれも術前診断されていたが,vp1は術前に診断不能であった.肉眼型が単純結節型以外と診断された結節はfine/ vascular/ irregularで1(25%)/ 5(71%)/ 4(80%)であり,いずれの結果もfine/ vascular/ irregularの順に悪性度が高い結果であった.術前の腫瘍マーカーはfine/ vascular/ irregularの3群で有意差を認めなかった.
【結論】
治療前の造影超音波検査における腫瘍の微細血管構築評価は,肝細胞癌の悪性度評価に有用である.vascularやirregularと判定される結節は,分化度・microscopic vp・肉眼型すべての点において悪性度の高い腫瘍と考え,治療戦略を検討する必要がある.